不動産売買の法律・制度/不動産売買の法制度

不動産を理解するための「都市の姿」の基礎知識(2ページ目)

住宅市場の動きなどを理解するためには、その背景にある都市の姿を知っておきたいものですが、人口や面積など意外と知られていない部分も多いでしょう。都市の規模による制度の違いや、市町村に関することなど、基本的な事項をまとめました。(2016年改訂版、初出:2007年4月)

執筆者:平野 雅之


政令指定都市とは?

2012年4月1日に熊本市が移行し、現在は20市が政令指定都市となっています。なお、 一般的には「政令指定都市」または「政令市」といわれますが、法律用語では「指定都市」または「指定市」です。

政令指定都市になると「区(行政区)」が設置されるだけでなく、民生行政に関する事務、保健衛生に関する事務、都市計画等に関する事務、環境保全行政に関する事務など、もともと都道府県が管轄する事務権限の多くが市へ委譲されます。

そのため、たとえば都市計画法などで「都道府県知事」の承認、許可、認可を要するものは、政令指定都市であれば「市長」の承認、許可、認可となり、市が都道府県なみの権限を持つことになります。もっとも、警察などは市の管轄になりませんが……。

政令指定都市の要件は、法律では「人口50万人以上で政令で指定する市」となっていますが、以前であれば実質的に100万人が基準でした。

しかし、市町村合併を推進するため現在は70万人でも政令指定都市を認めるようになっており、2005年に静岡市、2006年に堺市、2007年に新潟市と浜松市、2009年に岡山市、2010年に相模原市、2012年に熊本市が新たに政令指定都市の仲間入りをしています。


中核市とは?

地方分権の流れにより、1996年4月1日からスタートしたのが中核市の制度です。政令指定都市へ委譲される事務のなかから、都道府県が担当すべき一定のものを除いた事務が、中核市へ委譲されます。

都市計画に関する事務では、市街化区域または市街化調整区域内の開発行為の許可、土地区画整理組合の設立の認可、宅地造成の規制区域内における宅地造成工事の許可などが市(市長)の権限となります。

もともとは人口30万人以上であることなどが中核市の要件とされていましたが、2015年4月1日から「20万人以上」に緩和するとともに、後述する「特例市」と制度の一体化を図ることとされました。2016年4月1日現在で、47市が中核市に指定されています。

中核市一覧

なお、人口の要件を満たせば常に中核市となるわけではないため、人口が多いにも関わらず指定を受けていない市はいくつも存在しています。


特例市とは?

地方分権をより推進するため2000年4月1日にスタートした特例市の制度ですが、2015年4月1日からは中核市制度に統合され、特例市制度そのものは廃止されています。

ただし、それまでの特例市が自動的に中核市へ移行するわけではなく、経過措置として「施行時特例市」に位置づけられたうえで、従来の特例市における権限を引き続き保持しています。

従来の特例市制度では人口20万人以上であることが要件とされ、開発行為の許可など都市計画法関係、都市再開発法関係、宅地造成等規制法関係、土地区画整理法関係など、16の法律のなかから一定の権限が市へ委譲されていました。

施行時特例市の多くは今後、中核市への移行を目指すことになりますが(既にいくつかの市は移行済み)、2020年4月1日までの特例措置として、その間に人口が20万人を下回っても中核市への移行が認められることになっています。

施行時特例市一覧


特定行政庁との関係

建築確認事務などを担当する建築主事をおく都道府県や市町村のことを「特定行政庁」といいますが、これは中核市などの規定とはまったく異なるものです。

人口25万人以上の “政令で指定する市” には建築主事をおかなければならないことになっているほか、それ以外の市町村や特別区でも任意に建築主事をおくことができます。

このように他の法律に基づく政令によって指定された市のことを「政令指定市」と呼ぶ場合もありますが、その意味はそれぞれの法律によって異なります。他の法律による「政令指定市」と、地方自治法による「政令指定都市」を混同しないように注意しなければなりません。


町村が市になるための要件は?

市になるための要件として、地方自治法第8条第1項では「人口5万人以上を有すること」などが規定され、そのほかに都道府県の条例による都市形態などの要件もあります。

ただし、1970年から1972年までは特例で「3万人以上」とされるなど、政策的に人口要件が引き下げられることがあります。

近年の「市町村の合併の特例等に関する法律」(2010年3月31日まで)でも、合併により人口が3万人以上となれば市になることができる「3万市特例」が適用されていました。

郊外の住宅

都市のような町村も、政令指定都市のなかの山里もある

村から町へ移行する要件なども都道府県ごとの条例で決められており、全国一律の規定ではありません。

いずれにしても、人口以外にいくつかの要件があるため、一定の人口になれば自動的に「町から市へ」「村から町へ」となるわけではなく、自治体によっては、あえて市や町にならない選択をすることもあるでしょう。

市制後の産業構造変化などで人口が減少した北海道歌志内市(2016年5月31日現在で3,612人)や、過疎化が進む山梨県早川町(2016年2月1日現在で1,062人)などの例もあります。

その一方で、2010年1月に市制へ移行する前の愛知県三好町は、2002年頃から人口が5万人を超えていました。また、2014年1月に滝沢市となった旧「岩手県滝沢村」は2000年から人口が5万人を超え、10年以上にわたり「日本一人口の多い村」でした。

いまは沖縄県読谷村が日本一人口の多い村(2016年2月1日現在で39,353人)となっています。

単純に「人口が多ければ市、少なければ村、その中間が町」とはいえないでしょう。

ちなみに、かつて日本で最も人口が少ないことで知られた愛知県富山村(2005年10月1日現在で208人)は、隣の豊根村と平成17年11月に合併し「日本でいちばん小さな村」ではなくなっています。それまでは、同じ愛知県内に「日本でいちばん大きな町と、日本でいちばん小さな村」が存在していたのですが……。


市町村の数はどうなった?

1888年(明治21年)当時には全国で71,314町村だったのが、「明治の大合併」と「市制・町村制」の施行により、1889年には15,859市町村(39市15,820町村)に減っています。

その後、徐々に市町村の数が減り、地方自治法が施行された1947年(昭和22年)は10,505市町村(210市1,784町8,511村)、「昭和の大合併」終期の1961年(昭和36年)6月には3,472市町村(556市1,935町981村)となりました。

それからも市町村の合計数は少しずつ減少していたのですが、近年の「平成の大合併」により、1999年3月31日時点の3,232市町村(670市1,994町568村)から、2014年4月には1,718市町村(790市745町183村)までになっています。

明治時代の前期と比べて40分の1以下の数ですから、かなり集約が進んだといえるでしょう。


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