不動産売買の法律・制度/宅地建物取引業法詳説

宅地建物取引業法の用語の定義

宅地建物取引業法のなかで使われる用語には、一般的な概念や他の法律とは異なる部分もあるので注意しなければなりません。「用語の定義」を確認しておきましょう。(2015年改訂版、初出:2009年3月)

執筆者:平野 雅之

-宅地建物取引業法詳説〔売買編〕 No.2-

前回は宅地建物取引業法の第1条(目的)を解説しましたが、引き続き今回は第2条(用語の定義)についてみていくことにしましょう。

宅地建物取引業法第2条(用語の定義)

「宅地」の定義は広い

宅地建物取引業法第2条では「宅地」「宅地建物取引業」「宅地建物取引業者」「宅地建物取引士」の4つについて、宅地建物取引業法のなかにおける用語の定義をしているわけですが、とくに「宅地」については一般的な概念での「宅地」あるいは不動産登記法など他の法律における「宅地」と異なる部分もあるので注意しなければなりません。

【宅地】

「建物の敷地に供される土地」のことを「宅地」といいますが、これは現に建物の敷地として利用されている土地だけでなく、建物の敷地として利用する目的で取引される土地も含みます。

いまは農地や山林、原野などであっても、これから宅地開発をしようとする意図(宅地予定地、宅地見込地など)で取引するのであれば、宅地建物取引業法のうえではすべて「宅地」として扱われるわけです。登記上の地目がどうなっていようとも、ここでは関係ありません。

さらに宅地建物取引業法では、都市計画法による用途地域の定められた土地は、(道路・公園・河川・広場・水路の公共施設用地を除いて)すべて「宅地」としています。

ちなみに、この「宅地」から除外されるもののうち、道路・公園・河川が宅地建物取引業法による規定、広場・水路が政令(宅地建物取引業法施行令)による規定です。

つまり、用途地域内においては、農地を農地のままで取引したり、建物のない青空駐車場をそのままで取引したりする場合なども、宅地建物取引業法による「宅地」に該当するわけです。都市部では、取引されるほとんどの土地が「宅地」だと考えればよいでしょう。

逆にいうと、用途地域の定めのない地域で、農地や山林、採草放牧地、原野などをそのまま(宅地に転用する目的のないまま)で取引する場合には、宅地建物取引業法でいうところの「宅地」には該当しませんから、この法律による規制も及ばないことになります。

なお、宅地建物取引業法では「建物」についての定義はありませんが、一般的な概念による「建物」はすべて含まれると考えて差し支えありません。

【宅地建物取引業】

宅地または建物の取引について、
1.売買、交換(自ら当事者となる場合)
2.売買、交換、貸借の代理(当事者の代理となる場合)
3.売買、交換、貸借の媒介(当事者の間に立って仲介をする場合)
のいずれかを「業として」行なうことが「宅地建物取引業」となります。

つまり、「業」にはならない1回だけの単発行為は「宅地建物取引業」に該当しません。また、自ら当事者として部屋を貸す行為(アパートや賃貸マンションの大家など)は、たとえその数が多くてもそれだけでは「宅地建物取引業」にならないのです。実際には宅地建物取引業を兼業しているケースも多いでしょうが……。

【宅地建物取引業者】

これは条文そのままで、宅地建物取引業法第3条第1項に規定する「免許」を受けたうえで、宅地建物取引業を行なう者が「宅地建物取引業者」です。この免許を受けずに宅地建物取引業を行なうことは、宅地建物取引業法第12条によって禁止されています。

【宅地建物取引士】

従来の「宅地建物取引主任者」は、2015年4月1日から「宅地建物取引士」となっています。その資格試験に合格しただけの場合や登録を受けただけの状態で、宅地建物取引士証の交付を受けていなければ「宅地建物取引士」ではありません。


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