世界遺産/アメリカの世界遺産

ティカル国立公園/グアテマラ(2ページ目)

サルや野鳥の鳴き声が響き渡るジャングルに突き出した、中米一の高さを誇るピラミッド群。今回は、ジャングルとマヤ文明が融合した、世界有数の複合遺産「ティカル国立公園」へご案内しよう。

長谷川 大

執筆者:長谷川 大

世界遺産ガイド

マヤ長期暦と2012年人類滅亡説

II号神殿から見たグラン・プラザ。右がI号神殿、左がノース・アクロポリス。ノース・アクロポリスが3~6世紀に増築を重ねられた神殿や墓地であるのに対して、I号神殿は700年前後建造のピラミッド

II号神殿から見たグラン・プラザ。右がI号神殿、左がノース・アクロポリス。ノース・アクロポリスが3~6世紀に増築を重ねられた神殿や墓地であるのに対して、I号神殿は700年前後建造のピラミッド

コンプレックスQのステラ。ステラには長期暦が記されており、これによって年代が特定できる ©牧哲雄

コンプレックスQのステラ。ステラには長期暦が記されており、これによって年代が特定できる ©牧哲雄

ティカルは紀元前3~10世紀ほどに繁栄した古代都市。1,000年を超える歴史があるが、ステラと呼ばれる石碑に書かれている年代は3~9世紀までで、遺跡はほとんどこの時期のものだ。3世紀前後にはテオティワカンの王が訪れてティカルを実効支配したようで、この頃の神殿はテオティワカンのピラミッドにとてもよく似ている。一方6~9世紀建造のI~VI号神殿は斜面が非常に急で、独特の様式を誇る。

メソ・アメリカには共通する暦があり、この暦と西暦とをほぼ正確に対応させることができるため、ステラに書かれている年代は特定することができる。このマヤ長期暦を紹介しておこう。

マヤ長期暦はほぼ20進法となっており、キン=1日、ウイナル=20キン、トゥン=18ウイナル、カトゥン=20トゥン、バクトゥン=20トゥン、そして13バクトゥンを1単位として大周期としている。現在は5回目の大周期にあたり、紀元前3114年8月11日(別説あり)からスタートして、2012年12月23日に終わるらしい。大周期が終わるとき世界は刷新されて、新たな大周期世界がはじまるのだという。ここから2012年人類滅亡説が生まれ、ローランド・エメリッヒ監督『2012』をはじめ、数々の小説や映画が作られることになった。

なお、マヤではこれ以外にも260日周期のトゥルキン暦、365日周期のハアブ暦などの暦を並行して使用していた。
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