久しぶりに心地よい刺激
40代半ばを過ぎてからは「ウイスキーは自分というものを意識させる酒」との思いが強まっている。とくにひとりで飲みながらウイスキーの深い熟成感に浸るほどに、その意識は顕著になる。いろんな記憶や感情が心の壺からあふれ出る。自分を見つめ直し、自分が自分であることを強烈に意識するのだ。
そのせいか、最近はウイスキーを愉しむT.P.O.を勝手に決めつけているところがある。老化なのか、飲み過ぎているのか、ウイスキーの深みにはまったためにそうなったのか。おそらくそれらすべてのせいといえるだろう。
気楽にスタイルなんか気にしないで飲もうとこのサイトで語りかけていながら、我が身を振り返ると苦笑してしまうことがままある。自分で世界を狭めているな、と実感する。
そんな思いがあったところに心地よい刺激を与えてくれた店がある。バーではない。
焼肉『66亭』(ROKU ROKU TEI)だ。
場所は六本木四丁目。六本木交差点から溜池方面へ向けて坂を下る。三角公園とボルボの中間あたりにある。店はまだ新しい。9月13日にオープンしたばかりだ。
A5番とかめ仕込みウイスキー
ここは石垣牛や宮崎黒毛和牛をはじめとした希少特産和牛の限定仕入れをおこなっている。独自の仕入れルートを確立しており、和牛国産最高級ランクの“A5番”だけにこだわってもいる。早々に値段を知らせておく。特選和牛づくし300gが¥3.900、牛タン塩¥2.500、特上カルビ¥2.500、大トロカルビ¥2.800、石垣カルビ¥2.800といったところ。味は間違いなく、ほんとに旨い。海鮮バーベキューセットやご飯物、麺類も揃っているから、十分に満足できる品揃えといえる。
さて、私が受けた心地よい刺激とは何か。
それは極上の肉を堪能しながら飲むウイスキーだ。店内壁面ボードに「北杜かめ仕込」(シングル¥600、ダブル¥1.000)と書かれてあるのが目を引く。その近くにボトル5本以上は入るだろうと思われる「かめ」が置かれてあった。
このピュアモルトウイスキー北杜のかめ仕込が食中酒として、とてもいける味わいなのだ。すこぶるまあるい香味で焼肉とよく合う。(次頁へつづく)