少し鼻にかかった声で、Pont neuf(ポン・ヌッフ)と発音してみよう
フランスでも蕎麦は栽培されていて、そば粉を使ったお好み焼である「ガレット」として、とてもよく食されている。日本では粋な、フランスではエスプリに満ちた食べ物、それが、そばなのである。
で、立ち食い蕎麦店をフランス風にアレンジしてしまった店がある。それが、この奇妙な名前をもつ店舗だ。
その佇まいは、あくまでも、そこいらの立ち食い蕎麦屋の文法にのっとって、まさしくお約束通りに仕上げられている。ある意味非の打ち所のない完成形がここにある。
正面から見据えると、狭いながらも左右に出入り口を有し、かなりの注文もさしたる混乱を呈することなく提供できよう。まさしく絵に描いたようなプロフェッショナル空間なのである。
普通、××そば、とか、漢字またはヒラガナの店名がついているものであるのだが、ここの店名は、なんと「ポン ヌッフ(Pont neuf)」なのである。
何故に。ポン・ヌッフ。それは、この店の立地に関係がある。
フランス語で「pont」は橋、そして「neuf」は新という意味である。そう、新橋をまんまやんけに訳すと「Pont neuf」となるのである。
で、何を頼もうかとしばし悩んで「あれ」にした。この店のあれは、なかなかヴィジュアル的に魅せるものがあるのだ。