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蕎麦の切り方で味まで変わる!そばの切り方いろいろ

そばって、細いほどおいしい?細いほど粋?今回は蕎麦の切り方と太さについてお伝えしようと思う。自分でそば打ちするにしろ、お店で手打ちそばを注文するにせよ、蕎麦を仕上げる太さに注目してみると、そばの奥深さに触れられるだろう。

執筆者:井上 明

蕎麦は切り方や太さで味が異なる繊細な食べ物

蕎麦の切り方に注目してみよう

蕎麦の切り方に注目してみよう

▲そばの仕上りの細さは、食感に大きく影響を与える
一体、そばは細ければ細いほどよいのだろうか?もしそうであれば、そばは細さの競争に突入するだろう。モノサシで計った単純な数値が、そのそばの格を決定づけるということになる。
もちろん、当然そんなことはないわけで、麺の特性にあわせてどのようなサイズに切りそろえるかということは、プロアマを問わずに気を配りたい大切な事柄である。
そばは、繊細な食べ物である。切る太さが、0.1mmかそこら変化しただけで、同じ麺帯でもずいぶん異なる味になるのだ。

この記事では、そばのいろいろな切り方や太さについてお勉強してみる。
   

「切りべら23本」というそばの切り方

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▲江戸の仕事の基本は、切りべら23本
そば好きなら、「切りべら23本」という言葉を一度は聞いたことがあるかもしれない。切りべらとは、延した麺帯の厚みよりも細く切ることを指し、右のイラストのように断面が縦長の麺にすることをいう。

切りべらはわかったとして、「23本」とは何か。 それは、一寸(約3.03cm)の距離を23本に切ることを言う。つまり、30.3mm÷23 = 1.317mmという事になる。これが二八そばの伝統的な太さということなのである。
この太さは、そばの標準からいうと、さほど細くはない。
どうして切りべらで庖丁仕事をするようになったかというと、手早く延して、さっさと切って、見た目を細く見えるようにしようとすると、どうしてもこの切り方になってしまう。それゆえ、切りべらは、「切りべらで逃げる」というような言い方をすることが多くなるのである。
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▲端正な正角は、丁寧な仕事のあかし
つぎに、そばを丁寧に薄く延し、その延し厚と同じ幅、すなわち正方形の断面に仕上げることを正角と呼ぶ。切り揃ったそばは、見た目に美しいだけでなく、茹でる際にもいい仕事ができる。その結果おいしくいただける。
だから、これから庖丁を練習するのであれば、まず、この正角を目標にして欲しい。これさえできれば、切りべらも延しべらもやがて意のままになる。

 

そばの切り方「延しべら」とは

そばの太さの傾向だが、正角で1.2mmあたりに仕上げるお店が多いような気がする。二八そばを味わうのであれば、1.2mm正角あたりまでの細さが無難である。それ以下の細さになると、そばの香りがしなくなったり、食感が弱々しくなったりしてしまうから要注意だ。
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▲時には、延しべらが似合うそばもある。
そして、厚みより幅広く切る「延しべら」である。これは、「延しべらになっちゃった」という風に、懺悔するときに使うことが多い。でも世の中には、「延しべらでなくっちゃ」というそばもあるのだ。たとえば、更科粉に芥子を打ち込んだ芥子切り。作例は、1.3mmに延して1.8mm幅に切ったもの。更科粉のプリプリとした食感を楽しみつつ、打ち込まれた芥子という異物を包容するためには、どうしてもこの切り方になってしまう。

ちなみに、三色もりにしたのは、一番左が0.8mm正角の柚子切り、真ん中が1.6mmに延して1.4mmで切った切りべらの茶そば、右が、1.3mm厚1.8mm幅の芥子切りである。
 

蕎麦における適材適所の太さ・切り方

最後に、きっと発せられるであろう素朴な疑問に、あらかじめお答えしておこう。

1.5mmに延して、1.3mm幅に切ったそばと、1.3mmに延して、1.5mm幅に切った蕎麦って、結局同じじゃないの?

この答は「No」なのだ。庖丁がつくる断面は、0.1mmでも多い方がきりっとしたそばになる。でも、それじゃあ太いほどきりっとしてくるのかというと、断じてそうはならないということは改めてご説明するまでもないだろう。

要は、適材適所の太さと切り方が、蕎麦に応じて求められる、というわけだ。

自分でそばを打つにしろ、お店でそばを注文するにせよ、蕎麦を仕上げる太さに注目してみると、そばの奥深さに触れられる。

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