パン/パン屋さん取材レポート(東日本)

いつものパン。町のパン屋さんの理想のかたち。 ベッカライブロートハイム(2ページ目)

ベッカライ ブロートハイムは桜新町のパン屋さん。町の人々に愛される店であると同時に、国内外のパン屋さんたちが憧れる店でもあります。その魅力の秘密と、美味しいパンをご紹介します。

清水 美穂子

執筆者:清水 美穂子

パンガイド

ブロートハイムのいつものパン

わたしが好きな、いつものパンをご紹介します。
まず、ドイツパンではフォルコンブロート。朝食のためには、甘味があって歯切れが良い角食パンと、バタートーストに最適なハードタイプの山型、ジャーマントースト。
フォルコンブロート、角食パンジャーマントースト

自分の好きなパンだけを焼く明石さんが今一番好きなのは、このジャーマントースト。
灰分が高めの粉とフランスパン用粉を使い、ポーリッシュ種で焼いた食パンです。

パンペイザン特注の石臼

ポーリッシュ種といえば美味しかったパン2004下半期 に書いたパンペイザンも、素晴らしいパンです。今、ブロートハイムの石臼で挽かれた貴重な粉はこのパンにだけ使われているそうです。
チョココルネザントクーヘン
ブロートハイムには日本の菓子パンもあります。小さめのチョココルネはあっさりとした甘さ。ケーキのようにとけてしまいそうなソフトな生地の先までクリームが詰まっています。

ザントクーヘンは砂のケーキ。レモンのアイシングがアクセントの、ほろほろと崩れる焼き菓子です。レジの横にある籠にはパン屋さんならではのこういう焼き菓子があります。

こだわらないこだわり

ベーコンエピ
明石さんがパン作りで何より大切に考えているのは、味。
「素材のひとつひとつも、こだわっているつもりはなくて、これがあたりまえでしょう、と思って使っています。」
たとえばハムやベーコンにしても手間ひまかけて作られたごまかしのないもの。オープン当初から使っているベーコンエピのベーコンは自分のパンに合うからと選んだ桜新町の肉屋のもの。明石さんが子どもの時から食べていたものだそうです。

「あたりまえの(良い)素材を使うことはパンの値段にも反映されてくるでしょう。それをお客さんに理解してもらうことが大切ですね。」と言うと、「それもひとつだけれど、パン屋のほうでロスを減らすなど経営努力をして良い素材を使えるよう頑張るべきだと思っています。」と明石さん。

ドイツやスイス、オーストリアからベーカリーのオーナーの視察団が訪れた時、その中の一人が工房で素材や製法を見て苦笑しながら言ったそうです。「我々も昔はこんなふうにやっていた。でも今はもうやらなくなってしまった。だから、あなたのパンは素晴らしい。」

あたりまえのことが、あたりまえでなくなってきている時代。 その中で自分の「あたりまえ」のスタンダードを持ち続ける明石さん。

町の人の生活の糧としての「美味しい、いつものパン」を、18年間焼き続けるということは、簡単なことではなかったに違いありません。

だからブロートハイムは普通の町のパン屋さんには違いないけれども、パン屋さんにとっても消費者にとっても、日本で最も有名で、人気があるパン屋さんのひとつなのかもしれません。

■ベッカライブロートハイム

東京都世田谷区弦巻4-1-17
TEL 03-3439-9983

9:00~20:00
月、第一火定休 【関連記事】
ブロートハイムの隣にOPENした
KAFFEE SEEBACH (カフェ ゼーバッハ)
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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※メニューや料金などのデータは、取材時または記事公開時点での内容です。

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