フレンチ/全国のフレンチ

マツシマ(神戸)

神戸は三ノ宮にある小さなフレンチ。若き料理人、松島氏の繰り出す料理は静かなエネルギーに満ちている。これまで見た中で最も大きなアスパラはここだけの季節限定料理だ。

嶋 啓祐

執筆者:嶋 啓祐

フレンチガイド

神戸

遠い昔、大学3年の時、黄色の軽自動車で出掛けた旅の途中、神戸に立ち寄った。神戸と言えば六甲、そして神戸牛。しかし、貧乏学生の身分で神戸牛は敷居が高く、ならば六甲へということで坂を上っていたら。。。エアコンつけて男3人が乗った軽(SUZUKIのCERVO)は見事に坂を上りきれずに途中で止まってしまったのだ。当時の軽は排気量500未満。エアコンもカーステも後付の時代だ。エアコンを止めて2人降りて汗をかきかきなんとか上りきった先にあった風景は。。。
トロワグロ
神戸北野天満宮上の小さな展望台からの眺め

それはそれは瀬戸内海を見渡す素晴らしい眺めだった。それまでの疲れが一気に吹っ飛び、真夏なのに涼しい風が吹くところだった。瀬戸内特有の海と山が近い風景を初めて見た瞬間だ。そのあと北野の異人館通りのお洒落な街並みなど、記憶は未だくっきりと浮かび上がる。

さて、今回ご紹介する「マツシマ」は北野の異人館通りからほど近いところにある小さなレストランだ。正式な店名にはキュイジーヌ・フランコ・ジャポネーズ・マツシマとある。「日本人である松島が作るフランス料理」。聞くと、日本人の感覚をフランス料理にきちんと反映させるという意味を込めて店名にしたという。松島氏の師匠にあたる方は現在世田谷は大原に「瀬田亭」というレストランを営んでおり、ここにも同じコンセプトが書かれている。神戸の瀬田亭時代に師事した時の考えを受け継いでいるという意味も込められているようだ。まあ、通常はシンプルに「マツシマ」と書かせていただくとする。

このレストラン、マダムも料理人というユニークな店だ。現在は現場を離れているようだが、26歳で比較的に早くから独立したのもマダムが料理人という環境が左右したと松島氏は話す。確かにこれは安心だろう。ホールができるシェフはいてもシェフになれるホールはほとんどいないのであるから。
Matsushima
ウッディなドアが印象的なエントランス
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