フレンチ/東京のレストラン

誠実な料理とワインの新しい世界へ シュマン(溜池)(2ページ目)

乃木坂から溜池へ移転しはや2か月が経とうとしている新生シュマン。

嶋 啓祐

執筆者:嶋 啓祐

フレンチガイド

溜池
基本的は以前のインテリアと同じ洗練されたもの

融合する個性

内装は基本的に前店と同じ。エントランス先には一段高いところにウエイティングバーがあるが、なんとなく窮屈で、そのままダイニングに行ったほうが落ち着いたりする。

料理長は同じく小玉さん。アンフォールで菊地シェフ(現在はブルギニオンのオーナーシェフ)の下でしっかり技術を身につけたその作風は誠実で謙虚、真面目なフランス料理の王道を進む。もとものはマノワール・ダスティン五十嵐シェフが源流であるが、フランスでの経験で技術はさらに洗練され、持ち味がやっと滲み出るようになったといっていいだろう。

卵
温泉卵と新鮮野菜の見事なマリアージュ
特に創造的な料理並ぶわけではない。上記の通り、いたって誠実で安心して楽しめるフレンチが小玉氏の持ち味かなと思う。また彼の振舞う美味しそうな笑顔はブルギニオンの菊地シェフに負けていないし、むしろ食後の安らぎをさらに増長させるものだ。

それに対してワインに関しては柴田氏の個性が十分に堪能できる。ワインリストをじっくり眺め、さまざまな思いをはせながら今日の一本にたどり着く楽しみはシュマンでしか味わえない快楽かも知れない。または予算を言う言わないはともかく柴田氏のお薦めのまま、繰り出されるワインに身を任せるかだ。どちらも刺激的で楽しいだろう。少なくても彼はブルゴーニュワインに関しては日本でも有数のキャリアと経験、知識を持っている一人なのだから。

魚
エイのソテーは奥行のある味わい
それにしても個性際立つソムリエである。ゲストとの距離を均等に保ち、自分のペースを崩さずサービスにあたる。知識の程度に問わず一つ聞くと五つ位返ってくるし、二つ聞くと十個位帰ってくる。最初は堅苦しくても段々親しみ易くなってくるのがわかるだろう。

以前のガイド記事で「日本一キザなソムリエ」と書いて彼のファンからきついお叱りを受けた(笑)。しかし、彼のような一本気で真面目でちょっとキザで経験豊かなソムリエもまた日本には非常に数少ないのも事実なのである。ワインのコルクを開ける瞬間の柴田氏の表情に見るものは、切れ味鋭い伝家の宝刀を忍ばせる維新の志士に通じるものがあると言えば言いすぎだろうか。

内臓
内臓料理はシェフの得意とするところ
シェフとソムリエの融合する個性がシュマンの特徴であることは間違いないだろう。それが日本のフレンチのChemins(道)を切り拓いていくのかも知れない。

シュマン
東京都港区赤坂2-17-7
赤坂溜池タワー ANNEX
TEL:03-3568-3344

11時30分~13時30分(L.O.)コース\2,730~
18時00分~21時30分(L.O.)コース\5,880~
別途サ10%

地図
千代田線「赤坂」駅2番出口より徒歩5分
南北線・銀座線「溜池山王」駅10・11番出口より徒歩5分
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