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ドイツ映画が面白くなってきた-注目俳優はズバリ!ダニエル・ブリュール(3ページ目)

語り継がれる名作は多く、ニュー・ジャーマンシネマと呼ばれる時期もあったものの、しばらく低迷。だが近年、世界的な注目が集まってきている。そんな要注目のドイツ映画にせまってみました。

執筆者:南 樹里

ドイツの歴史で最も暗く、衝撃的な出来事
アドルフ・ヒトラーと側近たち

『ヒトラー~最期の12日間』

『ヒトラー~最期の12日間~』[Der Untergang]ドイツ映画
※秘書のトラウドゥル・ユンゲ[Traudl Junge]を演じたのは『トンネル』のアレクサンドラ・マリア・ララ
まずドイツによる、ドイツ語の、ドイツの俳優、ドイツ人監督によるヒトラー映画だということで注目したい。ヒトラーの晩年に女性秘書として彼の傍らにいたトラウドゥル・ユンゲ[Traudl Junge/2002年2月没]の回想録「最後の時間まで:ヒトラー最後の秘書」。そしてすべてを目撃した秘書が明かす衝撃の真実を『es』を監督したオリヴァー・ヒルシュビーゲルが、メガホンをとり世界を震撼させるのだ。監督曰く、ユンゲの回想録の登場によりキャラクターが決まり、「5万3千冊の関連書物では、ヒトラーの側面しか語っていないことが分かった。本当の歴史を理解するために…不寛容、人種差別主義、狂信的行為がどんな結果を招いたかを」。

『ヒトラー~最期の12日間』[Der Untergang]

『ヒトラー~最期の12日間』[Der Untergang]独裁者といえば?ドイツのヒトラーか、ソ連のスターリンかが=(イコール)で思い浮かぶほど、その名は知られている。が、その最期はどうだろうか。ヒトラーの場合、愛犬の毒殺、青酸カリを新妻に手渡すヒトラー、自決、と手塚治虫氏の漫画「アドルフに告ぐ」にもヒトラー最期の瞬間は描かれているが、その光景が実写になったら、衝撃度ははかりしれないと常々思っていた。(件の作品には略年譜がついており歴史を学ぶにも重宝した。この文章を書いている5月7日は、ドイツが無条件降伏[1945年/昭和20年]した日いうのも何やら妙である)。「アドルフに告ぐ」の第32章、連合軍の空襲で廃墟と化したベルリン。傍らで遺書をタイプしているのは、女性秘書のユンゲではなく、男性トラウドルだ。


『ヒトラー~最期の12日間~』[Der Untergang]ドイツ映画
※地下要塞シーンはスタジオ内で撮影。サンクトペテルブルグでロシア人とドイツ人によって撮られたシーンもある。その歴史を思うと感慨深い。
メグ・ライアン&ニコラス・ケイジ主演の『シティ・オブ・エンジェル』のオリジナル版『ベルリン、天使の詩』やテオ・アンゲロプロス監督『永遠の一日』のブルーノ・ガンツがヒトラーに扮している。いくら主役といえども、積極的に演じたいという役ではないだろう。挑戦しがいはあるが歴史的犯罪とファシズムの恐怖は周知の事実だし、あまりにも人々に顔が知れ渡っている。もしかしたら宇宙にまでと、考える人がいるのも…ジョディ・フォスター主演の『コンタクト』のなかでは宇宙から送られてくる映像がヒトラーの演説というシーンが。
ブルーノ・ガンツ氏は、スクリーンテストで監督の助言『メーキャップしたら』を受け入れ、衣装を身に付けたという。そして決定後には、ヒトラーの夕食会の談笑テープ(7分間)により日常的な会話の特徴をつかんでいったという。その談笑テープだがフィンランドの外交官によって、秘密裏に録音され、戦争中にドイツから持ち出されたものだそう。またヒトラーの愛人(妻)のエヴァ・ブラウンには『名もなきアフリカの地で』のユリアーネ・ケーラー。


『ヒトラー~最期の12日間~』[Der Untergang]ドイツ映画
※ナチスの崩壊劇、誰も描けなかった真実に『驚愕』
(C)2004 Constantin Film Produktion GmbH All rights reserved.
<<1942年、ヒトラーのいる東プロイセンの指令本部「狼の巣」に、ナチス親衛隊の将校に護衛されて数人の若い女性が、到着した。総統の個人秘書の候補で、面会を前に緊張している。そのなかでナチス旗揚げの地、ミュンヘン出身のトラウドュル・ユンゲ(アレクサンドラ・マリア・ララ)が総統に気にいられ職に就いた。1945年4月20日、ベルリン。第二次世界大戦のヨーロッパ戦線も大詰めを迎えつつあった。ヒトラーはソ連軍の砲火から逃れるため、限られた身内と側近とともに地下要塞に。ユンゲも同行したのだった。そこで目にしたのは…。>>

『ヒトラー~最期の12日間~』来日会見[2005/6/20]up!⇒⇒

ご紹介した『ヒトラー~最期の12日間』『グッバイ、レーニン!』『名もなきアフリカの地で』はギャガコミュニケーションズ、『ベルリン、僕らの革命』はキネティックとコムストック、『ラヴェンダーの咲く庭で』は日本ヘラルド映画の配給。


ドイツ映画が面白くなってきた「硫黄島の星条旗」
話は反れるが、日本でタブーというか、触れられたくない過去の映画化が進んでいるようだ。

『ミスティック・リバー』 『ミリオンダラー・ベイビー』で2年連続してアカデミー賞を制した、クリント・イーストウッド監督が米国小説「硫黄島の星条旗」(著者:ジェイムズ ブラッドリー、ロン パワーズ)を元に、日本人には一種の聖地である硫黄島を映画化する話が明らかになっている。早ければ今秋から撮影が開始されるとか。

ドイツ映画祭2005

『名もなきアフリカの地で』
『名もなきアフリカの地で』作品紹介
すぐにでもドイツ映画を!という方に
ドイツ映画祭2005公式サイト
2005年6月4日[土]~6月12日[日] 会場:有楽町朝日ホール
この記事でご紹介した映画の上映をリストにしました。
このほかの上映作品については上記公式サイトでご確認下さい。

上映日時(予定) 邦題 原題 上映時間
6月4日[土] 15:00 青い棘 Was nutzt die Liebe in Gedanken
90分
6月6日[月] 10:30 グッバイ、レーニン! Good Bye, Lenin! 121分
6月9日[木] 10:30 名もなきアフリカの地で Nirgendwo in Afrika 141分
6月11日[土]17:50 ヒトラー~最期の12日間~ Der Untergang 155分
DAS ENDE(おわり)
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