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産科医が去ったセンター病院(2ページ目)

地域の中心であるセンター病院に産科医がいなくなった京都府舞鶴市から現地リポート。残された人たちができることは?

河合 蘭

執筆者:河合 蘭

妊娠・出産ガイド

産科医不足で増えてきた助産師外来

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舞鶴医療センターの土田さん、南さん、吉田師長、永木さん、西さん(左から)。子育て中のベテラン助産師さんが多い病院です。
「助産師外来」とは、産科医ではなく助産師が妊婦さんや産後の人の診察をする外来です。助産師は正常に経過している人なら助産院で出産させることもできる免許ですから、産科医なしの外来が可能です。産科医の外来がパンクしてしまいそうな病院が多い今、助産師外来があれば、その分ゆとりが生まれます。

しかし、医師がたくさんいる病院の助産師さんは、開業助産師のような重い責任を担うことをあまりしてきませんでした。でも「もう医師に甘えていてはいけない」と吉田師長は言います。センターの助産師たちは、福井にある助産院まで研修に行きました。そして、自分たちも助産師なのだから、病院にいても開業できるくらいの気持ちでいたいと決心をかためたそうです。

出産しても仕事を続けられるくふうを


吉田師長は、実力もやる気もある助産師が病院で働き続けられるように、出産でやめなくてすむようなくふうを次々に始めています。たとえば、職員の子どもが病気の時は日帰り入院を引き受けるようになりました。師長自身は子育てと仕事の両立では大変な苦労をして子どもを成人させました。そのときに困ったことを改善していくと言います。

院内助産院にしてお産もとっていけたら


少しずつ、他施設で出産したお母さんがセンターの助産師外来へ来るようになりました。母乳のことなど、産後の相談口を求めて来るのです。吉田師長は、時期が来たら、この外来を、正常なお産を扱える「院内助産院」に発展させようと考えています。

そうすれば、舞鶴市の出産を受け止める受け皿にもなれます。舞鶴では、センターで出産していた約300名が市内の他の産み場所に回っている状態です。これは、医師が残っている他の施設の負担になっています。もし、そのことで舞鶴中の産科医の労働環境がますます悪化すれば、市内に『産科医撤退の連鎖』が起きるでしょう。

私は、お産を扱っている施設の中でセンターに一番近い病院にも行って来ました。

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センターに近い舞鶴共済病院ではどんな状況になっていたでしょう か?
分娩件数が増えてもいいお産を 



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