「寝不足は太る」って本当? 睡眠不足と肥満の関係
「睡眠不足だと太る」って本当?
美肌のために睡眠が大切なことはよく知られていますが、ダイエットのためにも質の良い睡眠をとる必要があります。
海外での研究によると、肥満度は7~8時間眠る人が最も低く、それより睡眠時間が短くても長くても肥満度が高くなります。どのくらい違うかというと、5時間睡眠の人は肥満率が50%アップし、4時間以下の睡眠ではなんと73%も上昇してしまいます。
日本人の健康診断のデータを分析した研究でも、同じような結果が出ています。約2万人の日本人男性で平均睡眠時間と肥満のなりやすさを調べたところ、睡眠時間が5時間以上の人に比べて、5時間未満の人は肥満になりやすいことが分かりました。
睡眠時間が短いと肥満になりやすいワケ
どうして睡眠時間が短いと、肥満になりやすいのでしょうか? それは、「レプチン」と「グレリン」というホルモンのバランスが崩れてしまうからです。レプチンは脂肪細胞が分泌する、食欲を抑えてくれるホルモンです。一方、グレリンは胃で作られるホルモンで、食欲を増進する働きがあります。睡眠時間が短いと、満腹ホルモンのレプチンが減り、空腹ホルモンのグレリンが増えてしまいます。睡眠時間が5時間の人は8時間の人に比べて、レプチンが16%少なく、グレリンが15%も増えています。つまり、睡眠時間が短い人は、食欲が増して太りやすい身体になってしまっている、ということです。
さらにグレリンが多いと、高脂肪食や高カロリー食を好むようになります。睡眠不足のときに、ケーキやこってりしたラーメンが欲しくなるのはこのためです。
睡眠不足はダイエットの大敵ですが、逆に十分に眠れば体重コントロールもうまくいきます。睡眠時間を削る実験が終了した後に、2日間続けて10時間睡眠をとると、食欲に関するホルモンが正常値に戻りました。空腹感と食欲の強さを表す数値も、約25%減らすことができています。
このように睡眠不足だと食欲が増し、食事の量や食事を取る機会が増えることで、身体に余分な脂肪を溜め込んでしまうのです。
睡眠の質を上げる食事のコツ
深夜のスイーツは、確実に体脂肪に変わります
良い睡眠をとるための生活習慣のうち、特に食生活に関するものをご紹介します。
■夕食は就寝予定時刻の3時間前には済ます
胃腸には、いわゆる腹時計と呼ばれる体内時計があります。お腹が膨れると眠くなりますが、ぐっすり眠るためにはある程度、胃腸の動きが落ち着くことが必要です。
■夕食を2回に分ける
夜ご飯から寝るまでの時間が取れない場合は、夕方におにぎりなど手軽に摂れるものを食べておいて、帰宅してから2度目の夕食を摂りましょう。ただし、2度の食事で夕食1回分ですから、カロリーオーバーにならないよう気をつけてください。
■小腹が空いたら軽いものを少しだけ
眠る前に空腹を感じたら、5分間、本当に食べたいのかどうかを考えます。気を紛らすためにストレッチングなど軽い運動や読書、友人との電話も試してみてください。お茶や水を飲んだり、カロリーの低いキュウリやセロリなどを食べるのもよいでしょう。それでもお腹が満たされなければ、うどんなどの炭水化物を少しだけ食べてください。
■朝食は快適睡眠への第一歩
良い睡眠をとる準備は、朝から始まります。朝食をとると腹時計が動き出し、体内時計がリセットされます。乳製品やバナナに含まれるトリプトファンは、目を覚ましてくれるセロトニンの原料になります。さらにセロトニンは、夜になると睡眠ホルモン・メラトニンに変わるのです。
■眠気覚ましのおやつにはチョコレートを
午後の眠気に勝てず、昼寝をたくさんしてしまうと、夜の睡眠にさしつかえます。カフェインはコーヒーやお茶のほか、チョコレートにも含まれています。午後の眠気対策として、おやつにチョコレートを食べると眠気が少なくなります。おしゃべりにも覚醒効果がありますから、友達と一緒に食べると効果が増します。ただし、高カロリー食でもありますから、食べ過ぎには気をつけましょう。
実は肥満と関係が深い睡眠の量と質。ダイエットだけでなく、メタボリック症候群の予防のためにも良い睡眠はとても大切です。ちょっとした工夫でぐっすり眠れるようになりますから、できることから少しずつ試してみてください。
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