シニア世代が検討したいリフォームや建替え ~60歳からの住宅ローン【リ・バース60】の活用方法を紹介~
快適で安心・安全に暮らせる住まいの定義は、年齢を重ねることにより変化します。そこで今回は、シニア世代に合った住まいのポイントについて、All About『リフォーム』ガイドのYuuさんに伺いました。
提供:住宅金融支援機構
お話をうかがった方
All About『リフォーム』ガイド:Yuu(尾間紫/おまゆかり)
多くの現場経験や相談実績を持つリフォーム全般に精通する一級建築士。過去を繕うものではなくコレカラの新しい暮らしを創る「リライフのリフォーム」を提唱。
シニア世代が注目すべき、60歳からの住宅ローン【リ・バース60】とは
生活の基本は衣食住、中でも住環境が人生に与える影響は大きいもの。
Yuuさん(※以下敬称略)「快適で楽しく暮らせる住まいなら心身ともに健康に過ごすことができ、省エネ住宅なら光熱費やメンテナンスにかかるお金も抑えられます。人生100年時代の今、『長生きはリスク』という人もいますが、私は『人生を楽しめる時間が長くなった』と考えています。長いシニアライフを楽しく充実させるためには、住環境を整えることは非常に大切ですよね。」
今後の生活を考えたときに、シニア世代の中には、家が古くて暮らしにくい、地震で家が大きく揺れて怖い、家が駅から遠くて買い物や通院に不便など、住環境に対する不満や不安を抱える方もいらっしゃるでしょう。しかし、主な収入は年金なので、手元の現金が少なくなってしまう不安から、住環境を改善することをためらう方がいるかもしれません。
このようなシニア世代の悩みを解決する選択肢として、60歳からのリフォーム、建替え、住替えに利用できる住宅ローン【リ・バース60】があります。
【リ・バース60】は、住宅金融支援機構(旧:住宅金融公庫)と提携する金融機関が提供している住宅ローンです。毎月の支払が利息のみのため、一般的な住宅ローンよりも毎月の負担が少ないことが特徴です。元金は、借入れをされた方が亡くなられたとき(※)に相続人の方が一括で返済するか、担保物件(住宅および土地)の売却により返済をします。
※連帯債務で借入れをされた場合は、主債務者および連帯債務者が共に亡くなられたときとなります
返済方法(イメージ)
※変動金利の場合は、金利が見直されると毎月の返済額または支払額が変わります
【リ・バース60】は、リフォームや、建替え、住替え、借換えなど、住まいに関する幅広い使いみちに利用できます。ただし、生活資金や投資用物件の取得資金には利用できないので注意が必要です。
また、【リ・バース60】の融資の限度額は、次のうち最も低い額となります。
※借入れをされる方の年齢が満50歳以上満60歳未満の場合は「担保評価額の30%」となります
さらに、【リ・バース60】の特徴としてノンリコース型を選択できる点が挙げられます。ノンリコース型は、借入れをされた方が亡くなられた後、担保物件の売却代金で返済したのちに債務が残った場合でも、相続人の方は残った債務を返済する必要がありません。
※1:2020年度のお申込み件数に占める割合です
※2:ノンリコース型の場合は、返済が不要となる残債務分については、債務免除益とみなされ、一時所得が発生し、所得税等が課税される可能性があります。詳しくは、税務署や税理士にご相談ください
【リ・バース60】の商品内容については、前回の記事でも紹介していますので、ぜひご覧ください。
【リ・バース60】について詳しく知りたい >>
【リ・バース60】はどのように利用されている?
ここからは、シニア世代に合う住まいのポイントと【リ・バース60】を利用した場合の毎月の支払額の目安を紹介します。
■リフォームの場合
シニア世代に是非検討して欲しいのが、転倒による家庭内の事故の防止や、先々に車椅子で生活する可能性を考慮した、室内のバリアフリー化です。
Yuu「床の段差をなくす、手すりを設置する、開き戸から引戸に変更するなどがありますが、和室をフローリングに変えるリフォームもおすすめです。床に段差があればその際に解消をすることができますし、ベッドを置いても床のお掃除がしやすくなります。畳をフローリングに変更するリフォーム費用は、状況にもよりますが6畳で15万円程度が目安です」
浴室リフォーム費用の目安は、システムバスに交換するなら120万円程度です。給湯器の交換は約30万円程度が目安となります。
浴室もリフォームを検討すべき場所です。
Yuu「浴室は、ヒートショックや転倒など家庭内の事故が多く発生する場所ですし、古いタイル貼りのお風呂はお掃除が大変です。また、節水型でない場合、お湯をたくさん使うので、光熱費がかさむ場所でもあります。
最近のシステムバスは断熱性能が高く、浴室暖房機を取り付ければ寒い冬でも暖かくお風呂に入れるのでヒートショックが防ぎやすくなります。また、洗い場の床は滑りにくい工夫がしてあり、中には表面を柔らかくして万が一転倒をしてもケガをしにくいようになっているタイプもあります。手摺の取り付けも忘れずにしておきたいですね。
節水型のシャワーヘッドや、省エネ性の高いタイプの給湯器に変えれば、光熱費が抑えられるようになります。このように、浴室はリフォームすることのメリットがとても大きい場所なんです」
断熱リフォーム費用の目安は、戸建住宅の場合は約300万円です。ただ、内窓の設置は1ヵ所7万円程度など、家の一部分を断熱するなら100万円程度から可能。エアコンの効きも良くなるので、光熱費が削減できます。
また、断熱性を高めるリフォームもおすすめ。特に、窓の断熱性能を向上させれば、エアコンの効きも良くなるので、光熱費が削減できます。
Yuu「国土交通省が2019年に発表した報告書によると、断熱性能が低い家は健康に悪影響を及ぼすことが分かっています。冬に家の中が寒く、場所によって温度差がある家は断熱性が低い可能性がありますから、長い時間を過ごすリビングや寝室だけでも断熱リフォームを実施したいですね」
さらに、戸建住宅の場合に検討したいのが、耐震リフォーム、屋根や外壁のメンテナンス、家を小さくする減築です。
Yuu「1981年以前に建てられた住宅は、地震に弱い構造の場合があります。なるべく早く耐震診断を受けて、必要であれば耐震リフォームを行なっておくことをおすすめします。費用は約150~200万円が目安ですが、国や自治体で補助金や減税制度を用意しているので、上手に活用したいですね。
減築リフォームは、家を小さくする工事のことです。家を小さくすれば、物の管理やお掃除がラクになりますし、防犯面でも安心です。使わない部屋がたくさんあるのは家が傷むもとですから、不要な部分をそぎ落としてスリム化しておくと暮らしやすくなり、耐震リフォームにかかる費用や、屋根・外壁のメンテナンスコストも抑えられるようになります」
※担保評価額1,000万円(住宅・土地)、変動金利年2.7%で、担保評価額の50%を上限とした場合
■注文住宅の場合
注文住宅で建替えを考える方もいます。
Yuu「建替えのメリットは、住み慣れた地域のコミュニティを維持しながら、最新性能の家に住めるという点です。さらに、これからの暮らしに合う間取りや広さの家を建てられるのも良い点ですね」
シニア世代が建替えをする場合は、平屋を選択するケースも多くみられます。階段がない家は、家庭内の事故を減らす効果もあるでしょう。
持ち家にお住まいの方は、リフォームにするか、建て替えるべきか、迷う方も多いでしょう。
Yuu「最初から決めずに、両方の見積もりを取って比較すると良いと思います。その際は、イニシャルコストにこの先に掛かるランニングコストを加えた、トータルコストで比較をすることが大切です。
古い家は、屋根や外装のメンテナンスが頻繁に必要だったり、断熱性が低いため光熱費が高かったりするなど、ランニングコストがかさみがちです。かといってリフォームで全てを改善しようとすると多額の費用が掛かってしまうことも。建替えの場合は、最新の性能を持ち、長期間メンテナンスフリーの屋根や外壁材が採用されているなど、快適に暮らしながらランニングコストを抑えた住環境を得ることができます。
ただし、建替えにメリットがあったとしても、シニア世代には今の家に思い入れがあり、間取りを大きくは変えたくないという方も多いものです。結論を急ぎ過ぎず、じっくりと検討すると良いと思います」
※担保評価額4,500万円(住宅・土地 )、変動金利年2.1%で、担保評価額の50%を上限とした場合
■マンション購入の場合
いままでの住まいから、利便性の高いマンションを購入して住み替える方もいます。
Yuu「シニア世代がマンションで暮らすメリットは、ワンフロアで暮らしが完結できることと、防犯面での安心度の高さです。また、駅や商業施設に近い物件が多いため、このようなエリアに住み替えると、暮らしの利便性がアップするでしょう」
駅や商業施設が多いエリアに住み替えれば、暮らしの利便性はアップ。坂や階段が少ない街なら、夫婦での散歩も楽しくなりそうです。
住替えのためにマンションを購入する場合、どのような点に注意すればよいでしょうか。
Yuu「シニア世代が新築マンションを購入するなら、自分たちが暮らしやすい間取りかどうかチェックしましょう。というのも、新築マンションの多くは一次取得層向けにつくられているため、若い共働き夫婦や子育て世代が暮らしやすい間取りになっているからです。最近は、間取りを自由にカスタマイズできるマンションがあるので、そのような物件を選ぶのもよいかもしれません。
また、中古マンションを購入する場合、道路からマンションエントランスまでの間に段差がないか、エントランスドアやエレベーターが車椅子でも使いやすいかなど、共用部分のバリアフリー性を確認しておきたいですね。
さらに、私がシニア世代におすすめしたいのは、利便性が良いエリアにあり、共用部分のバリアフリー性に問題のない中古マンションを購入し、自分たちの暮らしに合うようにリフォームする方法です。新築マンションを購入した場合との差額分をリフォーム費用に充てて、間取り変更や断熱リフォームを行えば、住みやすく健康に暮らせる住まいがつくれるでしょう」
※担保評価額4,000万円(住宅・土地 )、変動金利年2.5%で、担保評価額の50%を上限とした場合
【リ・バース60】の利用事例はこちら >>
【リ・バース60】という選択肢があることを知っておこう
Yuu「シニア世代は家で過ごす時間が長くなるので、住まいのクオリティを上げることは、快適かつ健康的な人生を送るために重要です。住環境を整えたいけれど預貯金はできるだけ手元に残しておきたいという方や、年金生活なので毎月の支払額を抑えたい方には、【リ・バース60】はとても有用な仕組みですね。また、【リ・バース60】は、住宅金融支援機構(旧:住宅金融公庫)と提携する金融機関が提供しているというのも、シニアにとって安心感が大きいですね」
【リ・バース60】は、取扱金融機関によって、ご利用いただける方の年齢、融資限度額、ノンリコース型およびリコース型の取扱い、金利タイプ、取扱可能エリアなどが異なります。興味のある方やお借入れの申込みを希望される方は、取扱金融機関へ相談してみましょう。
Yuu「リフォームや住替えの際にチェックしたいのが『3つのラク』です。家事や片付けの手間がなく健康に暮らせる『身体のラク』、居心地がよくストレスがない『精神のラク』、メンテナンスや光熱費などの『金銭的にラク』を満たせる家なら、これからの暮らしがさらに充実することでしょう。【リ・バース60】を上手に利用して、これらを満たす住環境を整えることで、充実したシニアライフをお過ごしいただければと思います」