支援制度などを活用!「買うときのお金」から考える家選び

マイホーム購入にあたっては、物件価格以外にもさまざまなお金が必要になります。一方、費用負担を少しでも軽減する方法や、知らないともったいない支援措置もあります。そこで、住宅購入のお金に詳しい大島さんに、家を買うときにかかるお金の代表例、そして物件価格や各種費用を減らすコツを伺いました。

提供:国土交通省

お話をうかがった方

大島 浩之

「住宅ローン・住宅購入のお金」ガイド:大島 浩之

住宅ローンを切り口に、ライフプランニングを提案するCFP®。上智大学文学部新聞学科卒業後、大手ハウスメーカーや不動産業者などを経て、現在では、FP試験の講師を務める傍ら、住宅ローンを切り口に、住宅購入をはじめとしたライフプランニングの相談を受ける。

家を買うときのお金、いくら必要?

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マイホーム購入にかかるお金といえば、「土地と住宅の価格で○○万円、35年返済の住宅ローンなら月々○万円の返済額で……」と、物件価格とその支払いに目がいきがちです。しかし、「物件価格以外にもさまざまな費用が必要で、現金で用意すべき費用もあります」と大島さんは言います。

大島さん(以下省略)「まず頭金として物件価格の1割程度は用意した方がいいでしょう。住宅ローンは物件価格の9割以下の融資額か、9割超かで金利が異なります。この金利差は月々の返済額や返済総額に大きく響いてくるものです」

加えてマイホーム購入時にかかる諸費用として、以下の様なものがあります。

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「諸費用は物件価格や住宅ローンの融資条件によって変わりますが、おおむね物件価格の1割弱くらい。つまり、頭金と併せて物件価格の2割程度を現金で用意するのが理想的です」

家を買うときのお金、減らす方法は?

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このようなお金を少しでも減らすことはできるのでしょうか? 大島さんは「諸費用の多くは物件価格や住宅ローンの融資額に応じて変わるため、物件価格を抑えれば購入時の費用も減るはず」と言います。

「立地条件や間取りの見直しのほか、モデルルームとして使っていた物件が価格を抑えて販売される機会を利用する、なども考えられますね。ただ、家族でずっと住むマイホームで、費用を抑えることを最優先にするのはお勧めできません。現在はマイホーム購入時の支援制度がありますから、そちらの活用を考えた方がいいと思います」

大島さんによれば、一例として以下のような支援制度が提供されているとのこと。こうした支援制度はマイホーム購入の助けになってくれるでしょう。

・住宅購入に関わる贈与税の非課税枠の拡大
他者からの財産分与にかかる贈与税のうち、住宅の購入やリフォームなどの資金を親や祖父母から分与された場合、「住宅取得等資金贈与の非課税」の制度により、2500万円までが非課税(一般的な財産分与では、1年間に分与された財産の合計額110万円以内が非課税枠)

・すまい給付金
消費税率の引き上げによる住宅購入時の負担を軽減する目的で、購入者に現金を給付。給付額は世帯の収入をもとに決まる

ローン金利引下げなど支援制度充実の「省エネ住宅」とは?

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さらに充実した支援制度を利用できるのが、国が定める省エネ基準を満たした「省エネ住宅」です。断熱性などに優れているため、光熱費などのランニングコストも抑えることができます。

また、省エネ住宅の場合は贈与税の非課税枠が2500万円から3000万円に拡大され、フラット35の住宅ローン金利は当初10年間または5年間、通常の金利より0.25%引下げられた金利で利用できます(金利引下げ期間は住宅の省エネ性能等で決まります)。

「概算ですが、物件価格5000万円で、【フラット35】Sの35年全期間固定ローンを利用した場合、通常の金利が年1.25%とすると返済総額は約6175万円、これが10年間0.25%引下げられると返済総額は約6056万円に減ります(元利均等返済、ボーナス時の増額なしの場合)」

このほかにも、省エネ住宅の購入やリフォームを対象に多様な支援制度が設けられています。終了予定のものが含まれているため、延長されるかどうかなど最新の情報はそれぞれのホームページ等で確認を。

法改正で国も後押し!気になる省エネ住宅にする費用は?

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さまざまな支援制度が設けられているのは、「国が普及を後押ししている証拠」と大島さんは続けます。

「2015年のCOP21(気候変動枠組条約 第21回締約国会議)で採択されたパリ協定を踏まえ、日本は2030年度までの温室効果ガスの削減目標を『日本の約束草案』で明示しています。いわば国際社会との約束事でもあり、その達成に向けた施策の一つに省エネ住宅の普及が含まれているのです」

これに伴って建築物省エネ法が2019年5月に改正され、マイホーム購入に関わる部分では、建築士から建築主に対する省エネ性能の説明義務制度が2021年4月から始まる予定です。具体的には提案中の住宅が省エネ基準に適合するかどうか、適合しない場合は省エネ性能の確保にどのような措置が必要か、などの説明が必要※2となります

また、気になる費用は、木造戸建て住宅の場合、省エネ基準適合にかかる費用※3 ※4は、新築時には約31万円、リフォーム時には約231万円という試算が発表されています。新築を検討している人は最初に省エネ適合にした方がコストは安くなります。

「国は未来投資戦略2017で、『2020年の新築住宅の省エネ基準適合率を100%とし、ハウスメーカー等の新築注文戸建住宅の過半数をネット・ゼロ・エネルギー・ハウス化する』という目標を掲げており、今後はZEH※1をはじめとした省エネ住宅の普及が加速すると見込まれます。現在は各種の支援制度が設けられ、ハードルは大幅に下がっています。なので、これらを利用して省エネ住宅の購入を検討してはいかがでしょうか」


※1 ZEH(ゼッチ)……ネット・ゼロ・エネルギー・ハウスの略称。外皮の断熱性能等の大幅な向上などで室内の快適性と大幅な省エネルギー性を両立させ、再生可能エネルギーの導入により、年間の1次エネルギー消費量の収支がゼロとなることを目指した住宅
※2 分譲住宅・賃貸住宅の売主・仲介事業者等に対して購入者・賃借人への説明を義務づけるものではありません。
※3【省エネ基準への適合のための追加コスト等の試算例】国土交通省資料より
◆計算モデルは、木造戸建住宅(6地域)を想定
 新築時の掛かり増し費用は、H4年省エネ基準(断熱等級3)に適合している住宅(複層ガラス)とH28年省エネ基準(断熱等級4)に適合している住宅との差額
※4【住宅ストックの断熱性能と住宅の省エネ改修に要する費用】国土交通省資料より
◆省エネ改修に要する費用は、H4年省エネ基準(断熱等級3)に適合している住宅をH28年省エネ基準(断熱等級4)に適合させるための費用