躍進するおサイフケータイ
ドコモが始めたおサイフケータイ。ソニーが開発した非接触型ICカード「フェリカ」を搭載しており、「かざす」だけで買い物ができたりチケット代わりに使えます。コンビニや家電量販店での買い物、飛行機の搭乗手続、映画のチケット購入、自動販売機での支払いなど利用範囲が広く便利です。すでに2004年7月から発売されていますが、便利さが受けて順調に普及し600万台を突破したともいわれます。さらに、9月にauが始め、11月にボーダフォンがおサイフケータイを始める予定です。仮りに、ドコモ、au、ボーダフォンの契約者85000万以上がすべておサイフケータイに代わったとしたら、これはもう強力な社会インフラといってまちがいないでしょう。
ドコモの囲い込み戦略
さらに2006年1月にはSuicaが搭載され、モバイルSuicaが発売になります。それによって、おサイフケータイは新時代を迎えると期待されています。盟主のドコモはその追い風に乗って来春には三井住友カードの協力のもとに自らケイタイクレジット(仮称)というクレジットカード事業部門を立ち上げようとしています。「かざせば」買い物ができるという利便性を生かして、コンビニや自動販売機など3000円以下の小口分野で主導権を取ろうという狙いです。小口決済60兆円市場の総取りを目論んでいるという人もいます。反ドコモ連合の結成か?
モバイル決済推進協議会の理事の人たち! |
協議会に参加するメンバーは、以下の通りです。イオン、オーエムシー、オリエントコーポレーション、クレディセゾン、KDDI、JCB、JTB、セントラルファイナンス、DCカード、UCカード、トヨタファイナンス、ボーダフォン、UFJニコス(以上が理事)、その他にポケットカード、アプラス、GEコンシューマーファイナンス、ジャックス、ライフ、ビットワレット、楽天KCなどとなっています。さらに凸版、伊藤忠商事、トヨタ自動車、三菱商事などベンダー、メーカーも参加しており、まさに一大グループとなっています(参加企業39社、参加予定を含めると49社)。
JCBのクイックペイ方式を活用
この協議会はJCBのクイックペイというシステムを使うのが特長です。クイックペイはやはり「フェリカ」を使うカードで、「かざす」だけで買い物ができます。しかも、おサイフケータイの中にすでに席を確保しており、支払いは後払いでクレジットカードに紐付いているというユニークなカードです。協議会に参加する20社あまりのカード会社は自らのカードにこのクイックペイを紐づけておサイフケータイ市場に参入しようと狙っています。60兆円市場獲得競争に乗り出すチャンスと見ているのです。日本のキャッシュレス化が急速に進展する可能性
クイックペイの端末はこれ! |
SuicaとEdyはどうなるのか?
ただ、この動きには不可解な点もいくつかあります。協議会にドコモと三井住友カードと、SuicaのJR東日本の姿がないことです。Edyのビットワレットは参加しているのですから、JR東日本が参加していて当然なのですが、その姿がありませんでした。悪くするとドコモ連合にSuica、反ドコモ連合にEdy(Edyは二股かけるかもしれませんが・・)といった具合に割れる可能性もあります。協議会側はドコモ、三井住友カード、それにJR東日本の参加も受け付ける、オープンな組織と強調していましたが、記者会見場の空気はピリピリしており、甘くありませんでした。ベータ対VHSの争いはまっぴら
いずれにしろ、これからはおサイフケータイの中で、ドコモ、三井住友カード連合と反ドコモ連合が凌ぎを削りあうことになりそうです。ビデオのベータとVHSの戦いのように両陣営に分かれての戦いが始まるかのようです。利用者とすると、意地を張り合って分かれるのではなく、共用端末とかカードの共通化など利便性をあげる方の努力を望みたいのですが、何とかならないものでしょうか。【関連リンク】
JCBクイックペイ