年収に応じて借入額が決まるのが総量規制!
クレジットカードで、総量規制という考え方が初めて登場したのは06年に成立した改正貸金業法でした(完全施行は2010年6月)。当時、消費者金融やクレジットカードのキャッシングによって、多重債務者が増加し、自己破産や夜逃げ、自殺が社会問題になっていました。それを是正し取り締まるために作られたのがこの法律です。眼目は借入総額が年収の3分の1を超えてはならないという規制です。これまではキャッシングの限度額に年収による制限はなく、あくまで消費者金融やカード会社の審査に委ねられてきました。総量規制はこうした借入が多重債務の原因になるとの考えから導入されたもので、日本独自の制度です。
総量規制で借りたくても借りられない人が続出!
このように改正貸金業法は長年の懸案だった金利の引下げを実現し、多重債務の発生を抑え込み、さらに総量規制でそれをより完璧なものにしようとしているのです。しかし、それがあまりに厳格なために、いろいろな所で悪影響がでています。とくに総量規制です。借入総額が年収の3分の1を超えてはならないという規制ですが、サラ金の利用者1170万人のうち、750万人がすでに3分の1以上借りているために、完全施行された10年6月以降は追加の融資を受けられない状況にあるといいます。それと共に深刻なのが収入のない専業主婦やフリーターたちです。彼らは今後カードでの借入ができなくなる可能性があるなど、借りたいのに借りられない人たちが巷に溢れるようになったのです。
ただ、クレジットカードでいえば、規制の対象はキャッシングに限られており、中心的な機能のショッピングは対象外になっていたため、しばらくは安心ができました。
改正割賦販売法でも総量規制導入に!
ところが、このショッピングも総量規制の対象になってしまいました。それは08年6月のことです。住宅リフォーム業者の“次々販売”事件など悪質業者の訪問販売が発端となり、特定商品取引法改正が行なわれましたが、同時に悪質加盟店に対して過剰な与信契約を結ぶ信販会社も規制をすべきとの声を受けて、08年6月に改正割賦販売法が成立したのです。
年収に応じたショッピング枠を設けようという動き!
この法律は改正貸金業法と同じく多重債務を減らすために支払い能力を超えたカードの利用を制限し、年収に応じた適正な利用限度額を設定しようというもので(これがいわゆる総量規制)、そのために最初は所得を証明する年収証明書、預貯金額、クレジット債務の支払い状況、借入などの申告を利用者に求めようとしました。これにはマスコミや市民が声をあげ反対したために、最終的に年収は自己申告でよくなりましたが、その人の収入に応じたショッピング枠を設けることは経済産業省の狙い通り決まったのでした。海外旅行で限度額をアップさせることができます!