現金の何倍ものお金が世の中を駆け巡っている? 信用創造
今、日本で使われている現金は、約75兆円くらいあります。そして、日本の家計が持つ金融資産の総額は1500兆円といわれています。?? おかしいですね?現金よりも金融資産のほうが多い? そうなんです。世の中には、実際に存在する現金の何倍もの数字上のお金がたくさんあります。
例えばこんな感じです。
Aさんが、a銀行に1000万円を預けました。銀行では、100万円を残して900万円をある会社に貸しました。その会社では900万円をB会社に支払いました。B会社は受取った900万円をb銀行に預けました。b銀行では預かった900万円のうち100万円を残して800万円をCさんに住宅ローンとして貸しました。住宅販売会社ではCさんから受取った代金800万円をc銀行に預けました。さて、今、お金はいくらあるでしょう?
現金 1000万円
銀行口座の残高 1000万円+900万円+800万円=2700万円
銀行に預けることで、もともと1000万円しかなかった現金は2700万円もの預金になりました。これを信用創造といいます。
逆のことが起こると、大変なことになります。
銀行に預けておくよりも、現金として手元においておきたいと思ったAさんは、1000万円のうち300万円を銀行から引き出しました。a銀行では、手持ちの100万円にb銀行から借りた100万円とc銀行から借りた100万円をたして、なんとかAさんに300万円を返しました。a銀行も、b銀行も金庫が空っぽに。そこへb銀行に900万円を預けていたB会社が支払いのために900万円を引き出したいと言ってきました。でも、b銀行には、もう現金がありません。c銀行に900万円貸してくれるよう頼みましたが、c銀行にも、あと700万円しか現金が残っていません。どうしよう?
銀行にお金を預けるのではなく、現金を引き出す人が増えると、現金が足りなくなって、最悪の場合、会社や銀行の経営があやうくなってしまいます。これを信用収縮といいます。
金融仲介も、決済も、信用創造も、お金のやりとりは、お互いに信用しているからこそ、成り立つわけですね。銀行のサービスも、信用をもとに行われているということです。