資産運用/資産運用をするときの鉄則

【中級向け】資産運用の理論を学ぼう VOL.1 長期投資はリスクを減らさない

理論武装編の第1回は、世間に<まことしやかに>言いはやし伝えられている「長期投資はリスクを低減する」というのは、本当なのか考えてみましょう。

執筆者:橋爪 修司

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●なぜ理論を学ぶのか

このシリーズでは資産運用の理論を誰でも理解できるように、わかりやすく解説していきます。資産運用のリスクに立ち向かうには、理論武装こそ、必要となるからです。
あるリスク商品を購入したり、購入しないことにしたり、売却したり、保有を続けたり、といろいろな投資行動を選択するにあたって、知っていて行動するのと、知らないで行動するのとでは、表面的には同じ投資行動であっても、その後の変化に対する対処において必ず差がついてまいります。
また、現在の金融市場では、MPT(モダン・ポートフォリオ・セオリー)が支配的です。対抗する勢力のチャーチスト(罫線やチャートにより投資判断する人)も侮りがたい力を誇示しております。市場参加者、すなわち土俵に上がっている戦士たちが、どう考え、どう行動するのかを予測する際にも、彼らが拠り所としている《理論》を知っておくことが有効です。

●「長期投資はリスクを低減する」とは

資産運用や投資の解説書やパンフレットには、「分散」と並んで 「長期保有」がリスクを低減させる のに有効であると書かれているものを多く見かけることと思います。根が素直な質(たち)のガイドも、そう教えられ、その図解を見ては、なるほどと納得したものでした。



実際はもっと精緻な図で、時の経過とともに、標準偏差で測ったリスクは減少していくものだなと考えたわけです。この図を見れば誰でも、そう思いますよね。

●「長期投資では投資結果の差は拡大する」のではないか

しかし、一面では考えることが好きな質(たち)の筆者は、あるとき、理論が確率の上に成り立つものであるならば、儲かり続けている人と負け続けている人もそれぞれ存在することを考慮しなければいけないのではないかと、フト思ったことでした。



これは正直、思いのほか、難問でした。誰に聞いても、どの資料を調べても、筆者の直感に答は見いだせなかったのです。勉強が半端だったものですから、まんまと「統計のウソをつく方法」に嵌らされていたのでした。


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