なかなか増えない正社員の数、気がつくと大きく差がつくビジネス能力格差
それではなかなか正社員になれない理由は何でしょうか? そのひとつに企業が業績を回復する切り札として人件費を削っていることがあります。同じ売上1億円でも、人件費が1億円なら黒字はゼロですが、人件費が8千万円なら2千万円の黒字が出る、というわけです。人件費を削るためには、働く人の数を減らすか、安く働いてもらうかのどちらかしかありません。実は、働いている人のほぼ3人に1人はバイトやパート、契約社員となっている状況です(→女性「35歳定年」の壁を越えろ!)。この割合はここ数年で大きく上昇しました。5年前はバイトやパート、契約社員の割合は4人に1人くらいでしたから、いかに正社員の数が大きく減っているかが分かります。人件費を圧縮するために、こうした状況が続く限り、フリーターが正社員になるチャンスが厳しいのは事実です。
また、フリーターが正社員になりにくい理由のひとつとして、正社員に応募しても差別されるのでは、というイメージがあると思います。でも実際のところはそうした会社は減っているようです(詳しくはこちら)。3割くらいの会社は確かにフリーターについてネガティブに捉えているようですが、7割の会社はこだわらないとしています。
実際に、ある中小企業の人事部長に話を聞いたら、会ってみて熱心で優秀な人材ならフリーターでもまったくこだわらないとおっしゃっていました(そんなことにこだわる会社はやめてウチに応募してくればいい、と笑っていました)。また、数年前ならともかく、今現在ではもっと多くの会社が求人に熱心になっており、フリーターについて好意的なんじゃないか、ともおっしゃっていました。つまり、求人のチャンスはやや減っているかもしれませんが、決して門は閉ざされてはいないということです。
しかし、フリーターの皆さんが正社員にチャレンジする際には、自分たちのビジネス能力が新卒から正社員であった人と差がついていることを意識しておいたほうがいいでしょう。いわゆるビジネスマナーやビジネススキルはもちろんですが、ワープロソフトや表計算ソフト、プレゼンテーションソフトなどを使いこなす能力についても、フリーターである人は正社員より数十%ほど低いことが明らかになっています(詳しくはこちら)。これは、正社員を目指すときのハードルになりかねません。
確かに、フリーターとして仕事をしていると、なかなかこうしたビジネスソフトの利用などに習熟するチャンスが低いかもしれません。しかし、ワードやエクセルをそこそこ使えるだけで生涯収入格差を数億円縮められる可能性があるとしたら、これはやってみる価値はあります。
実はITスキルといっても、初心者向けの500円のムック本レベルの能力で十分ですし、ワードやエクセルの互換ソフトが3000円程度で買えたりもします(最初からパソコンにインストールされている場合もあるでしょう)。さっそく今晩にでも、ちょっと立ち上げてみてはいかがでしょうか?
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→パソコンノウハウ[Excel・Word・PowerPoint]
[次回予告]
次回は、フリーターシリーズのまとめとして「どうしたら正社員になれるか」「どうすればフリーターでもやっていけるか」を考えてみたいと思います。
11/3掲載!●「フリーターよりやっぱり正社員!?」