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投資の基準は「本質的価値」にあり

「値段」と「価値」とはまるで異なるものである、ということに気づけるかどうかが重要です。それがわかれば、単に数字のみで判断してしまう愚を避けることができるでしょう。

午堂 登紀雄

執筆者:午堂 登紀雄

ニューリッチへの道ガイド

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本質的価値は何か?に注目する

冷静に本質を見極めよう
株式投資でPERを指標にする人がいます。不動産投資家の中には、利回り(キャップレート)を重視する人がいます。確かにこれらの数値は、投資対象を評価するときに注目すべきものではありますが、エッセンシャル・バリュー(本質的価値)をはかる尺度にはなりません。

たとえばPERの計算根拠となる株価は、投資家の欲望によって形成されていて、その数字自体で割安だとか、当該企業の成長性を裏付けるものではありません。成長性とは、その企業が持つビジネスモデルや資産(顧客・取引先・製造方法・資金調達能力など)が競合他社より優れていて、潜在マーケットが大きく、企業をうまくハンドリングできる経営者の存在によって裏付けられます。

利回りは、現時点での収益性を示したもの、あるいは満室時の「想定」ですから、その利回りが将来にわたってどれだけ維持できるかという考慮は全く入っていません。不動産の場合は特に、「その物件に入居してくれる人はいるのか?」「その物件にはいくらの家賃を支払ってくれるのか?」「その物件を買いたいと思う人はいるのか?」を考えなければなりません。

私のところに相談に来る人で、LTVとかIRRとかDCFとか、いろんな評価指標を持ち出してくる人を見かけます。その数字が優良であれば「買い」だというのです。どこで勉強したのかわかりませんが、そんなものを信じて投資するのは、優良物件を見逃し、ゴミ物件を選ぶ危険性があります。

金融商品のように、同じ商品ならどれを買っても同じ価値を持つのなら、数字で評価して決めればよいでしょう。しかし、全く同じ物件が二つとない不動産の本質的価値は、そんな数字だけでは決まりません。数字の面が優れていても、そこに入居したいという人がいなければ、その数字は将来にわたって実現しないですからです。賃貸ニーズという、数字で評価しにくい点を、実際には最も考慮しなければならないのです。

数字で判断してきたプロが、この金融恐慌で黒焦げになっている、という現実から学ばなければなりません。そして、私が住んでいる賃貸住宅の大家さん(農家のおじいさんとおばあさんです)のように、数字なんてよくわからなくても、良質な賃貸住宅を所有して金融危機など他人事にすることができる人の成功要因を見逃してはいけません。

要するに、「値段」と「価値」とはまるで異なるものである、ということに気づけるかどうかが重要です。それがわかれば、単に数字のみで判断してしまう愚を避けることができるでしょう。
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