その助言は、あなたにとって本当に適切なのか? |
というのは、自分で投資したことのない評論家が、いい加減なアドバイスをしている場合があるからです。もちろん、その人はよかれと思って主張しているのだと思いますが、時には悪いアドバイスになってしまいます。たとえば著者に悪気はなくても、2007年に金融商品を勧めていたとすれば、結果として悪書になるということです。
私は仕事上、あるいはお金関連本の執筆上、またプライベートでも様々な投資をしているので、投資関係の本は、普通の人よりおそらく多く読んでいると思います。そして、かなり実践経験も積んでいます。そんな経験を通して、だんだん、「あ、この著者、投資したことないな」「この人は自分でポジション張って投資しているな」というのがわかるようになってきました。
ゴルフをしたことのない人が「ゴルフ上達法」という本を書くことはありませんが、なぜか資産運用の世界では、やったことのない人が、分散投資とか投資信託とか、いろいろ解説してくれるのです。でも誰もおかしいと思うことなく、そんな本が売れている。
どうやって見分ける?
見分ける方法はあります。まず、「その人がどんな手口を使い、いったいいくら儲けているのか?」を聞くことです。あるいは一時的に儲かったとしても、「その儲けをどれだけの期間、続けられているのか?」を聞くことです。貧乏なファイナンシャルプランナーや評論家の投資アドバイスは信用に足るでしょうか。
本であれば、著者プロフィールを見てみることです。そこに、投資で儲けた形跡が見られるかどうか。単にマーケットの状況や仕組みを理解したいだけなら、評論家の意見は役に立ちますが、儲けるために必要なのはそういうものではないはず。確かに分析は的確かもしれませんが、そこから判断し行動するのは次元がまったく異なるのです。
もう一つは、その人のポジション(立場や所属)です。
金融機関やFP事務所に所属している人は、投資信託を薦めます。不動産会社に所属している人は不動産投資を薦めます。でもこれは当たり前です。私自身も不動産投資コンサルティングの会社を経営していますし、現役の大家なので、不動産を推奨します。まずはそこを割り引いて考えなければなりません。もちろん、私の発言も大いに疑いながら読んでください。
そして、やはりポジションを持って市場に対峙している人間の言うことにこそ、耳を傾ける価値があるのではないかと思うのです。もちろん、実際に成果を出しているか、その方法論が再現性があるかどうかも重要です。
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