「GEOMETRIC SPACE」
の霧島さんから、オフ会の席上にて「2003年のマイPDA決定版」のバトンをいきなり渡されました。この企画が私に回ってくるとは微塵にも思わずに皆さんの記事を楽しませていただいていたのですが、2003年も押し迫ったこの時期にトリとして回されるとは、霧島さんの術中にまんまと陥ったようです。
さて「2003年のマイPDA決定版」ですが、その前に少々前置きをいたします。
私は人様から「PDAをたくさん買う人」という印象を持たれることが多いのですが、やみくもに新機種を購入することはあまりありません。逆に全く購入しない期間などがかなりあったりします。
今年などは、そういった意味では購入が少ない一年であったといえます。
私がPDAを購入するには幾つかの基準があります。
■実用性
◆搭載機能
・PIM、AV、Networkなどの提供されているソフトウェアの機能
◆機能を実行するハード性能
・ソフトウェアを実行するハードの速度
・ソフトウェアを提供する表示能力
■趣味性
◆カスタマイズ
・追加アプリケーションによる環境の変更
・システムレベルのカスタマイズによるコアな変更
・ハードウェア改造
◆拡張性
・周辺機器による機能の拡張
・ケース、バック、スタイラス、キーボードなどの多様性
■先進(進化)性
◆実験的機能拡張
・機種固有の新機能
・新しいスタイルの提案
この中で、私が特に重用視しているのが先進性と実用性です。
例えば、性能(処理速度やメモリなど)が強化されたとしても、既存製品の機能を単に置き換えただけの機種には先見性は存在しません。
また、新しい機能を搭載しても活かせるサービスを整備できない機能では十分に活用できないために実用性は乏しいと言えます。
以上のことから「2003年のマイPDA決定版」は以下となります。
■NTT ドコモ 『SigmarionIII』です。
選定理由ですが
●実用性として
・@FreeD、AirH”(※)、Bluetooth(※)まで、現在の無線通信環境をほぼ利用できる点
(※)標準でのサポートは有りませんので、導入は自己責任となります。
●先進性
・メール、ブラウザに加え、MSN メッセンジャーといったリアルタイム通信も活用できる。
●小型軽量低価格
・小型ノートPCが小型軽量・低価格化が進んでいる状況下でも十分なコストパフォーマンス
今年のPDAを振り返ると、進化と呼べる新しいPDAはあまり多くありません。そのなかで、SigmarionIIIは通信機能のサポートの先進性とソフトアップデート等のサービス提供、高解像度液晶や小型軽量化などの実用性、どれをとってもユーザーに高いレベルでの利用環境を提供できています。
なお、次点としては、以下の機種をあげておきます。
■シャープ 『ザウルス SL-c750/760/860』
・OSにLinuxを採用し、時間軸ベースでのデータ管理システム、ターンチェンジ可能なVGA液晶も導入されており先進性はSigmarionIII以上に高いのですが、残念ながら実用性としてはまだ実行速度、液晶の視認性、電池持ち等、完成度面の未成熟さが目立つことから今一歩と評価し、次点とさせていただきました。
■Palm One 『Tungsten T|3』
・landscapeも可能なワイドハイレゾ液晶やBluetoothを搭載し、CPUや搭載メモリなどのハード面ではPocketPCに肩を並べるPalmOS機です。
ただし、現在のPalmOS 5では、通信にもっとも重要なマルチタスク環境が実現できていないため、潜在的なハードスペックを活かすことができないことから、PalmOS 6での登場の期待を込めて次点とさせてもらいました。
■HP 『iPAQ h2210』
・PocketPCとしては、小型ながらSD/CFスロット、BlueTooth搭載と通信周りの機能サポートと小型軽量化を実現したハイコストパフォーマンス機です。
こちらは通信機としては、必要なものをすべて搭載して小型化をはかった非常によいで出来映えの機種ですが、PocketPC 2003の完成度の甘さと本来の手帳としてのデータ管理システム(PIM)は古いままで、実用面での先進性がないことから、あえて次点としてみました。
■僭越ながら総評
今年のPDA全般に言えるのですが、先進性としての優れた特性と方向性を搭載した機種が少ない点が挙げられます。
PDAはPC端末でありながら、家電のような完成度が実現されている製品でなければ十分な活用ができません。
また、ハード面(筐体の大きさ、重さなど)からの制約で機能の絞り込みも行わなければ現在のROMベースの小型端末としては確率できません。
今年は、機能を制限した端末(クリエTJ25、UX60、GenioE400など)も多くリリースされたのですが、そうした機能の切り分けが十分な製品とは言えず、製品の特性がぼやけ、訴求力に乏しくなったと言えます。
今年リリースされた端末からは、活用できる端末としてのハード&ソフトのアセンブルの大切さを改めて考えさせられたと思います。
PDAは、PCと携帯電話の狭間でPC間を行ききする端末として、完全なる新時代の手帳となる可能を未だに秘めています。
携帯電話でもノートPCでもできないPDAだけの活用の道があります。
来年は、機能の絞り込みを練り上げ、実用性の高い完成度を目指すとともに、携帯電話でもノートPCでもできないPDAしかできない新時代のマルチな電脳手帳として先進性あふれる魅力的な端末が登場してくれることを期待して、新年に夢を託したいと思います。
2004年が、PDAにとって良い年とならんことを祈ります。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※機種やOSのバージョンによって画面表示、操作方法が異なる可能性があります。