総称型とは?
本年度前半に皆さんからのご意見を募ったアンケート調査を行ないました。その中で、意外に多く見られたのが「Java5の文法についてやって欲しい」というご意見でした。Java5は既に登場から2年が経過し、既に広く浸透しているはずですが、多くの人は「Java2の最新バージョン」といった使い方しかしていないようです。Java5の新しい文法を使いこなしているのは案外と少数派なのかもしれません。そこで、Java5の新しい文法の中から重要なものをピックアップして整理しておくことにしましょう。
まずは、もっとも重大な変更である「総称型」についてからです。これは原語で「Generics(ジェネリックス)」と呼ばれるもので、コレクション・フレームワークなど汎用的なデータを多数扱うクラスで、利用可能な型を確定するための仕組みです。……といっても、なんだかわかりませんね。
Javaには、「多数のオブジェクトを管理するためのクラス」というのがいくつかあります。ArrayListやVectorなどのことですね。これらは、「コレクション・フレームワーク」と呼ばれるもので、多数のオブジェクトを一まとめにして保管したり、取り出したりできます。
これらは非常に便利なものですが、しかし「なんでも入れられる」というのが逆に困ったことになる場合もあります。例えば、こんなものを考えてみましょう。
import java.util.ArrayList;
import java.util.Iterator;
public class Main {
public static void main(String[] args) {
MyData mydata = new MyData();
mydata.list.add("Welcome");
mydata.list.add("to");
mydata.list.add("Java.");
mydata.printAll();
}
}
class MyData {
public ArrayList list = new ArrayList();
public void printAll() {
Iterator iterator = list.iterator();
while(iterator.hasNext()) {
String s = (String)iterator.next();
System.out.print(s + " ");
}
}
}
MyDataにいくつかの値を保管し、それを出力するという簡単なサンプルです。これを実行すると、"Welcome to Java."といったテキストが出力されます。まぁ、これはわかりますね。
上のコードはかなり問題がありますが、それについては脇においておきましょう。ここで注目して欲しいのは「MyDataのlistには、String以外の値も収めることができる」という点です。