専用エディタによる快適な編集環境
WTPには各種ファイルの専用エディタがあります。これはXMLエディタ。内容をビジュアルに編集できます。 |
・キーワードの種類などによる色分け表示機能。
・自動インデントおよびソースコードのフォーマット機能。
・入力中の候補をポップアップで一覧表示する補完機能。
・汎用表現を短縮登録できるテンプレート機能。
Web開発のプラグインは各種ありますが、HTMLやJSPはまだしも、JavaScriptやCSSまで専用エディタを提供してくれるものはそう多くはないでしょう。これらをすべて専用エディタで作成できるのは実に便利です。また、こうした多くの専用エディタがあるのを見て、「別にJSP/サーブレットなんか使わず、普通のHTMLベースのWeb作成もできるのでは?」と思った人もいるかもしれません。実はその通りで、Static Web Projectとしてプロジェクトを作成することで、ごく一般的なWeb開発にも使うことができるようになっています。
設定ウインドウでは、各種ファイルのエディタを細かに設定変更できます。これはHTMLの表示スタイルに関する設定画面です。 |
WTPは「買い」か?
WTPは、サーバサイドJava開発者の間で既に話題となっています。Eclipse利用者なら、注目せざるを得ないものなのは確かでしょう。ただし、「これでみんな一斉にWTPになだれ込む」かというと、現状ではまだそう判断はできないところがあります。
1つには、「日本語化の遅れ」があります。いくら「技術者たるもの英語がわかってナンボだ!」といわれるとはいえ、やっぱり「全部英語だけの環境」と「全部日本語化された環境」があれば、後者を使いたくなるのが人情でしょう。また、人は「慣れ親しんだものは、多少の欠点があっても我慢して使い続ける」というところがあります。既に独自の環境で慣れてしまっているのにわざわざWTPに移行する必要があるのか、と思う人も多いでしょう。
こうした「慣れ」の問題以外にも、機能的に足りない部分があることも確かです。特に「フレームワークの対応が弱い」という点は今後の対応が求められるところでしょう。StrutsやJSF、Hibernateといったフレームワークを利用するための専用機能がWTPにはありません。まぁ、手作業でライブラリファイルを組み込んでしまえば使えるようになるので、実質上は大きな問題にはならないでしょうが、既に多くの開発環境が標準的にStruts/JSFなどに対応している点を考えると「できない」では通じないでしょう。(この点はEclipse Foundationも認識していると見え、現在、JSFのプラグインを開発中のようです)
現在はSun Java Studio EnterpriseやOracle JDeveloperのように、製品として販売されていた高機能の環境が無償化されるようになってきていますから、それらと比べるとWTPがやや見劣りする面があるのは事実です。WTPは「これで完璧!」というものではない、と考えるべきでしょう。これは、Eclipseベースのサーバ開発の「土台」となるものです。これで、ようやくEclipseにもサーバ開発の標準的な環境が整ったのだ、ということなのです。WTPはEclipseなのですから、これに更にプラグインなどを追加することだってできるのですから。そうした「新たなEclipseの標準」として、WTPは着実に浸透することでしょう。
既に本格的な開発環境を導入していてそれに満足しているというのなら別ですが、Eclipseを使ってサーバ開発になんとなく不満を感じていた方は、ともかくWTPを試してみてください。そして、その上で「WTPに何を加えればいいか?」を考えてみるとよいでしょう。ほら、そう考えたら、WTPが実にいい「土台」であることがわかってくるんじゃないでしょうか?
関連リンク
WTPプロジェクトのページ
Eclipse Foundation WTPダウンロードーページ