もう一度乗りたかった……今はなき名作マシン
第3位 ワンダーホイール
(神奈川県・横浜ドリームランド/1964~2002年設置)
横浜を代表する名物観覧車だった「ワンダーホイール」 |
「揺れる観覧車」……つまり、乗っているとゴンドラがス~~ッと移動するのです。いったい、どうなっていたかというと、ゴンドラの上部に楕円形のレールを設置して、観覧車が1周する間の数カ所で、ゴンドラがそのレールを滑って落ちるという構造。そう、観覧車なのにスリル系だったのです。なんか、高いところで下を見てたら後ろから押されたようなフワッとした感覚……イヤでしょ! 怖いでしょ! でも、なんかまた乗りたくなるんですよ。一応「揺れる」のは1台おきで、乗り場は「←揺れるゴンドラ」「揺れないゴンドラ→」に分かれてたんですが、ついつい「←」のほうへ……ね。
今はなき名作マシン第2位 ワイルドリバーアドベンチャー
(東京都・多摩テック/1996~2004年設置)
コース上に水車があったウォーターライド「ワイルドリバーアドベンチャー」 |
多摩テックという遊園地は、カート系のアトラクションが多く、いろんなカートのコースが立体的に交差して、園内が模型の国みたいなんです(これがけっこう好き!)。この中を、くぐるようにレイアウトされた水路のコースは秀逸でした。最初は余裕のスタートで、そのコースが入り組んだ園内の様子を見渡せます。で、しばらく行くと急カーブがあり小さなスプラッシュに意外とビックリ……たたみかけるように2回目のスプラッシュが来ます。しばらく平穏無事に進んだあと、なんと水車に乗せられてライドが数m上昇。再び水路に戻ると、目の前に日野の市街地がパッと広がるんです。
そして、いよいよラストスプラッシュ! 4回のスプラッシュや水車の演出など、ちょっとほかにはない、おすすめマシンでした。かなり人気もあったのですが……。やっぱり、メンテナンスが大変だったのかなぁ。
今はなき名作マシン第1位 ムーンサルトスクランブル
(山梨県・富士急ハイランド/1983~2000年設置)
赤いコースが永遠の名作コースター「ムーンサルトスクランブル」 |
富士山の麓の遊園地のスゴイ奴。これが圧倒的なナンバー1! これまで乗った乗り物の中でもベスト1かもしれません。どんな乗り物かというと「速い、高い、Gがスゴイ、絶景」の四拍子揃った、いわゆる絶叫マシンの中の絶叫マシン。では、当時を思い出しながらの乗車実況中継を。
「さあ出発したマシンは傾斜角60度のコースをゆっくりと地上75mまで上昇↑ おっと、右に見えるは富士山だぁ!『富士山を見下ろしてるみたいだねぇ~』などと和んでいる場合じゃないぞ。ついに頂上……後ろ向きに落下ぁぁ~↓スタート地点のプラットホームを時速105kmで通り抜け、世界最大6.5Gの重力がかかる後方2回転ひねりへ突入。グォォォ~~、6.5人分の体重が頭にのしかかってくる~~! もう、どっちが上で、どっちが下だか、ワケがわかりましぇ~ん。後ろ向きのまま、再びマシンは75mまで上昇↑ 今度は前向きで急降下↓、さらに再び6.5Gの世界へ。ラストは最初と同じ上昇↑下降↓で富士山を拝んでゴール。この時間、わずかに2分。ムーンサルト(月面)へのスクランブル旅行、無事帰還してまいりましたぁ」
と、こんな感じ(動画がないのが残念……)。世界最大の6.5G(1G=自分1人の体重分の重力がかかること)といい、都合3回の落下といい、とにかく「キッつい」マシンでしたが、富士急ハイランドで富士山をもっとも近くに感じるマシンでもありました。もう1回乗りたいなぁ。
「ムーンサルトスクランブル」と同じ赤いコースの「ええじゃないか」 |
また、観覧車は、最高部の高さを競っていた1990年代頃に比べ、今は個性の時代となっています。東京ドームシティの世界初のセンターレス観覧車「ビッグ・オー」など「ほかにない」「ここだけ」という観点は、まさに横浜ドリームランド「ワンダーホイール」のそれです。
昔の「古き良き」名作マシン達のテイストは「いま」の遊園地に受け継がれています。ただ、多摩テック「ワイルドリバーアドベンチャー」のような演出満載のウォーターライドは、まだお目にかかれていません。それは未来の遊園地に期待しつつ、最後に「いま」の遊園地のマシンの中から名作マシン・ベスト3を選んでみましょう。
「古き良き」から「新しき良き」へ……現役名作マシン
第3位 バンデット
(東京都・よみうりランド/1988年設置)
緑の中を疾走するローラーコースター「バンデット」 |
そして、このコースターの醍醐味はコースレイアウトの妙。スタート後、ゆっくり最高部まで上った後に急降下、急旋回、急降下、大回転とスリルポイントが目白押しですが、実は本番はこの後なんです。広くて緑が多い遊園地の地形をふんだんに生かしたコースは、はるか向こうに見える木造コースター「ホワイトキャニオン」に向かって加速。池に落ちる感じで落下・上昇したら、あっという間に「ホワイトキャニオン」が目の前に……。コースから見える風景のおもしろさは、ちょっとほかでは味わえない秀逸なものです。しかも、期間限定で、後ろ向きに走る「逆走バンデット」や、水がかかる「スプラッシュバンデット」も走行。現役の中でも「元気」のある名作コースターですね。
現役名作マシン第2位 スペースショット
(栃木県・那須ハイランドパーク/1998年設置)
関東平野を見渡せる絶景マシン「スペースショット」 |
で、これのポイントは景色。浅草花やしき「スペースショット」からの浅草寺や下町の風景、よみうりランド「クレージーヒュー」からの春の桜など、おすすめはいろいろあるのですが、この那須ハイのマシンがイチオシです。ミソはスタート地点を屋根で覆っているところ。つまり、最初は景色が見えず、打ち上げられた瞬間に目の前に関東平野の大パノラマが広がります。大感動……でも、残念ながら那須ハイは冬期休業。春になったら、晴れた日に行ってみてくださいね。
現役名作マシン第1位 スチールドラゴン2000
(三重県・ナガシマスパーランド/2000年設置)
驚異の高さ97mを誇る絶叫度ナンバー1の「スチールドラゴン2000」 |
いよいよ、お待ちかねのナンバー1。「ムーンサルトスクランブル」に勝るとも劣らない衝撃を受けた絶叫コースターです。当時、高さ・速さなどで世界一だった富士急ハイランド「フジヤマ」の全記録をぬりかえました。
ポイントは前半の2つのコブ。1つめのコブが97m! 2つめのコブが77m! この2つめのコブが、それまで高さ世界一だった「フジヤマ」の最高部の高さ79mとほぼ同じというから驚きでしょ。これを「上昇→落下→上昇→落下」します。実は、初めて乗ったとき、前日に「フジヤマ」に乗っていて、最初の97mのスゴさをリアルに感じたんです。70数mを過ぎた「あと約20m」の衝撃は今でも忘れられません。で、そのあとの落下は、顔が痛いほどの風圧で、とにかくインパクト絶大のマシンです。
現役マシンもたいしたもんでしょ。「新しき良き」名作がいっぱいです。さて、今昔のベスト3を選んでみましたが、どうも私の好きな遊園地の乗り物の条件は、今も昔も「素敵な景色」と「にくい演出」のようです。でもこれは、あくまで独断と偏見。みなさんの好きな乗り物の条件は、ひとりひとりで違うはずです。自分だけの「私の好きな遊園地の乗り物」を探しに、遊園地へ出かけてみませんか?
<関連リンク>
・多摩テック(現在は営業終了)
・富士急ハイランド
・よみうりランド
・那須ハイランドパーク
・ナガシマスパーランド