暑い夏にはさっぱり冷麺を
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いよいよ夏! さっぱりしたものが食べたい! |
暑い夏の到来を目前に体力や栄養補給のためのスタミナ料理もいいけど、さっぱりとした麺料理を食べたいと思いませんか?韓国では夏に食べる麺料理として冷麺がダントツの人気を誇っていますが、実は、冷麺には、さっぱり味や辛味などルーツや種類もバラエティに富んでいます。食欲旺盛な韓国の人々の間では、焼肉を食べた上で、口直しにさっぱりと冷麺を食べるというスタイルも定番になっている程。今回は夏を代表する料理として愛されている冷麺についてクローズアップしていきます!
冷麺のルーツは北朝鮮にあり
韓国料理の一つとして定着している冷麺ですが、実は、発祥のルーツは現在の北朝鮮にあります。1950年に勃発、朝鮮半島を混乱に陥れた朝鮮戦争時に南側に逃れた北朝鮮出身者達によって、韓国でも冷麺が徐々に広められていきました。また、冷麺を食する時期については、もともとは寒い冬にオンドル(朝鮮半島式の床暖房)の部屋で麺に冷たいスープを注ぎ、キムチと一緒に食べていたと言われています。
現在、大衆食堂では、冷麺は夏場のみの期間限定メニューとして定着されていますが、焼肉店や冷麺専門店では一年を通じて食べることができます。
発祥地によって違う冷麺の種類
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さっぱり味の水(ムル)冷麺は平壌生まれ ©韓国観光公社 |
冷麺には大きく分けてさっぱりとした味付けの
水(ムル)冷麺とコチュジャン(唐辛子味噌)を混ぜて食べる辛味の
ビビン冷麺の二つがあります。
水冷麺は北朝鮮の平壌(ピョンヤン)で生まれたとことから、平壌冷麺とも呼ばれています。特徴は、鶏や牛肉でダシを取ったスープを使っていること。麺が太目で黒く、弾力があり、原料に使われているのは、蕎麦粉、小麦粉やでんぷんなど。また、一般的に具として、味付けされた薄切り肉(牛肉)、ゆで卵、きゅうり、キムチや梨などが添えられます。水冷麺のスープの味は薄味のため、酢やからしといった薬味を自分の好みで加えて食べることができます。辛いものが苦手な方や、さっぱりした味わいを期待したい方におすすめです。
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コチュジュンの辛味が強いビビン冷麺 ©韓国観光公社 |
一方、ビビン冷麺は北朝鮮の東海岸に位置する咸興(ハムフン)地方が発祥とされることから、別名・咸興冷麺と呼ばれ、でんぷんのみを使用した麺と、コチュジャン(唐辛子味噌)で和えて食べるのが特徴です。具は、水冷麺とほぼ同じですが、これらに加えて刺身が入った刺身(フェ)冷麺も有名。コチュジャンで麺が真っ赤になる様子は見るからに辛そうです。辛いものでも大丈夫な方は是非、トライしてみては?
釜山地方にしかない、夏定番の麺料理とは?
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釜山地方オリジナルの麺料理・ミルミョン 「ミル」は日本語で「小麦粉」を指す |
さて、同じ韓国でも釜山地方では、冷麺の地位に君臨している夏定番の麺料理
ミルミョンがあります。ミルミョンの歴史も遡ると、やはり、朝鮮戦争時に北朝鮮から韓国に逃れた人々によって、故郷の冷麺を懐かしみながら、小麦粉を代用して麺が作られたのが始まり。今では、釜山の人々に親しまれ、街中でも冷麺専門店よりもミルミョンをメインとするお店が多いです。麺は黄色がかって、やわらかいので日本のラーメンを連想させます。
具は、冷麺とほぼ同じですが、スープは、牛肉や豚肉の他に、ニンニクや生姜など複数の野菜を煮込んで作られます。それぞれの材料から栄養分などを出させじっくり煮込むのに数日はかかるとのこと。まろやかな味付けに仕上がります。食べる時には、お好みで酢やからしをどうぞ。釜山に来たら、冷麺を楽しむのもいいですが、釜山地方オリジナルのミルミョンを楽しむのもいいかもしれません。
【関連リンク】
ソウルナビ・明洞咸興麺屋(ミョンドンハムンミョノッ)……ソウルの繁華街・明洞(ミョンドン)にある老舗冷麺専門店。高い人気を誇るお店で、冷麺のバリエーションも豊富に揃えられています。
ソウルナビ・ヘジュ冷麺……ソウル南部・ロッテワールドの近く。ここの名物は激辛のビビン冷麺! さっぱりとした水冷麺もあるので辛いのが苦手な方でも大丈夫です。ランチ時には行列ができる程の人気とか。
釜山ナビ・ハルメカヤミルミョン……釜山名物・ミルミョンの専門店です。店名の「ハルメ」は釜山地方の方言で「おばあちゃん」の意。釜山でも多くの観光客が訪れる南浦洞(ナンポドン)にあり、手頃な値段でミルミョンを食べられるのが魅力。