フィレンツェ紙ってご存知ですか?鮮やかな極彩色の模様を施した キレイな紙のことで、マーブル紙とも呼ばれています。 万華鏡をイメージさせる不思議な模様、大理石のような不連続で複雑な模様。 ひと目で、「これは機械じゃ出せない模様だな」とわかりますが、 その通り。職人さんが一枚一枚丁寧に色づけするもので、 フィレンツェの伝統工芸品として、お土産の定番にもなっています。 この紙を表紙に使ったノートやフォトスタンドなど、 もしや、お土産にもらったことがある人もいるのでは? 今もフィレンツェに息づく、16世紀から続く伝統的な彩色技法。 本物の職人工房をたずねてみました。

フィレンツェの下町の雰囲気を残す裏路地に、製本職人ロメオさんの工房はあります。 製本に使う道具や注文の作りかけの本などが、無造作に散らばった工房に、 乱れ髪のシニョーレ。いかにも職人然とした姿に「が、頑固そう・・」と一瞬後ずさり。 しかし、話してみると、気さくなフィオレンティーノ(フィレンツェ人)。 トスカーナ弁で、 丁寧に、そして熱く、語ってくださいました。
昔々、本がもっと貴重で大切に扱われていた時代は、一冊一冊を手作りで製本するのがあたり前でした。 皮のカバーをつけ、真鍮のコテで模様を焼き付け・・職人さんが丹精こめて作る。 日本ではあまり知られてはいませんが、イタリアでは今でも、大切な思い出を残すアルバムや、 結婚式など重要なパーティーのときの署名ノートなど、オーダーメイドのオリジナル本(ノート)を 注文する文化が残っています。素敵ですねー。 そんなわけで、製本職人さん、というのが現在も活躍しているわけです。 とはいっても、年々少なくなっているのが現状で、ロメオさんも「仕方ないねえ」ともらしてらっしゃいました。

さて、フィレンツェ紙に話を戻しましょう。 昔の技術を伝承する製本職人さんは、中世期やルネッサンス期のアンティーク本の修復も大事な仕事のひとつ。 製本職人であるロメオさん。数十年前、とある博物館にて古書の修復作業中に17世紀の書物の中から、 この独特な彩色についての記述を発見。そして、本を参考に研究を重ね、独学で身に付けたとか。 先祖伝来でこの紙を作る工房もある中では、異色の存在かもしれません。アナーキーなロメオさんも、 他の工房同様に、フィレンツェ紙を使った本の装丁を行っています。16世紀にこの彩色技術が伝来したとき、 本の装丁に使用され、華やかなのに高価な革装丁と比べても比較的安価と人気を博したそうです。 そのため、製本職人さんがこの技術を伝承しているわけです。(写真は【工程1】)

フィレンツェ紙を実際作っていただきました。 工程1:海草を入れた「ふのり」のようなドロリとした液体の上に、染料をトントントンとのせ、
工程2:櫛のような器具でその表面をザザーッと なでる。この模様つけは種々あり。 (写真は【工程2】)










工程3:上に紙をのせ、しばらく待つ(写真は【工程3】)














工程4:注意を払い、ぺらっとはがすと、ホーラ、色紙の出来上がり!(写真は【工程4】) 複雑怪奇な怪しくもある模様、いったい、どんな方法で?!と思いましたが、 意外にもシンプルな方法で作られていたんですね。シンプル・・それは簡単ということではありません。 色の配合を考えて色をのせる、出来上がりを想像して、ゆらゆらと動く水面上で模様を描く、 空気の隙間ができないように紙を載せ、ムラにならないように紙全体に色を馴染ませる。 1枚1枚が似ているようでも、同じものは2枚とできない。すべて熟練の手作業で行うからこそ、のよさがそこには あるのです。紙一枚、されど紙一枚。深いですね。

かつては、フランスとイタリアで使われていた彩色技術で「フランス紙」と呼ばれていたそうですが、 近年フランスの職人さんは途絶えてしまい、もはやフィレンツェのものになってしまったとのこと。 それで「フィレンツェ紙」と呼ばれるそうです。本場であるフィレンツェには、いくつか工房が残っていますが、 各工房で、それぞれ柄や色味など趣も微妙に異なるようです。ロメオさんの工房では、体験させてくださいます。

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