レインボーブリッジをわたる
左に続く低い石垣は浜離宮庭園。だんだん海の予感がしてくる。頭上でゆりかもめと合流して、竹芝サウスタワー、インターコンチネンタルベイ。浜崎橋をわたって頭上でゆりかもめと合流すれば、海だ、海。東京港でいちばん古い日の出埠頭の倉庫街もまたいい。がっちり働く「東京湾」っていう感じがする。芝浦埠頭をまっすぐに走り、やがてバスはぎゅっと右に旋回していく。レインボーブリッジだ。さぁ海を渡るぞと気合いが入る、この瞬間がすきだ。
レインボーブリッジの遊歩道を歩いて渡っている人と何人もすれ違う。興味はあるのだが、やめた方がいいよ、と会う人ごとに言われ、まだ私は挑戦したことはない。1.7キロもあるのに、排気ガスと騒音がひどいのだという。とは言え、窓の向こうに広がる海とビル群の美しいこと。そのまま飛び込んで泳ぎ着きたいようだ。側壁が高く、一般道からの眺めがいまひとつのこの橋で、車高の高いバスはこんなところでも威力を発揮する。
ブリッジをおりたバスは、有明西運河に沿って静かにお台場エリアへと入っていく。地図でみると、すぐ右手、橋のたもとと言ってもいいような場所に学校がある。有明運河と東京港にはさまれた校舎の窓からは、どんな景色が見えるのだろう。ひと口に東京で育ったといっても、きっと故郷のイメージは十人十色。東京はあまりに広い。
バスはこの時間、大観覧車の方から、ぐるっとお台場をまわっていく。時刻によってはフジテレビ方面から逆回りになる。「東京港湾岸アンダー出口」という交差点で信号を待ち、右へ曲がればすぐパレットタウン。左手にある橋の名前は「あけみ橋」。しかし、いったいなぜ、あけみ?。
若いカップルはここで降りるのかな~と勝手に思っていたのだが、その気配はない。結局、最初に降りたのは、船の科学館前で降りた私だった。ここまでおよそ30分。