歴史を代表する作庭家3人の庭・夢窓国師、小堀遠州、小川植治
歴史を代表する、そして京都の名庭を作った多くの作庭者の中からこの3人をあげご紹介します。■夢窓国師
鎌倉時代末から室町時代初期にかけての臨済宗の禅僧。夢窓国師の多くの庭は、自然の一部の景色を組み合わせて庭園を構築しました。地形的な変化をもたせる禅の思想とも深く関わりがあり、多様な景観を持つ庭園を多く作りました。それ以前は、変化も少なく単調なものが多かったため、当時としては画期的で、その後の作庭手法に大きな変化をもたらしました。
その例として、天龍寺の曹源池庭園があります。暦応2(1339)年に足利尊氏が後醍醐帝の菩提を弔うため創建しました。その他に苔寺で知られていおり、日本最初の枯山水と言われている西芳寺の庭園を完成させています。
特別名勝に指定され、回遊式庭園としても最も古い庭。大方丈より眺める曹源池は、絵に描いたような素晴らしい眺めです。 |
天龍寺曹源池庭園は、愛宕山、小倉山、亀山、嵐山等を借景とする非常に美しい庭で、大和絵的な浄土式庭園が主流だった池泉式の庭園に、石組などで禅宗的要素を取り入れ、枯山水式庭園に大きな影響を与えています。
●天龍寺
所在地:京都市右京区嵯峨天龍寺芒ノ馬場町68
TEL:075-881-1235
拝観時間: 8:30 ~ 17:30
HP:http://www.rinnou.net/cont_03/10tenryu/index.html
交通・アクセス:京福嵐山線「嵐山駅」下車より
地図:Yahoo!地図情報
■小堀遠州
江戸時代初期の武将。茶人、建築家、作庭家としても有名です。遠州は江戸幕府の作事奉行として各地の作庭に関与しています。京都では、二条城二の丸庭園、金地院庭園等、多くの作庭に関りました。デザインも巧みで、斬新な意匠や借景をうまく取り入れた作庭と言われています。
計算しつくされた素晴らしい枯山水の眺めは、圧巻です。 |
その中の1つ金地院庭園は、徳川家康を称えると言う意図があり、武家らしい小堀遠州の作庭だと思います。比較的落ち着いて見られ、方丈に広がる枯山水の庭は素晴らしいものです。
●金地院
所在地:京都市左京区南禅寺福地町86-12
TEL:075-771-3511
拝観時間:8:30~17:00(12月~2月 8:30~16:30)
交通・アクセス:地下鉄東西線「蹴上駅」下車徒歩7分
地図:Yahoo!地図情報
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■小川植治(七代・小川治兵衛)
近代日本庭園の先駆者とされる作庭家。明治、大正時代に活躍した彼は、平安神宮神苑 、円山公園 や邸宅の作庭である無隣庵や藤田小太郎邸、西園寺公望邸など様々な用途の庭を作ってきています。特に、南禅寺界わいを中心にした庭が多く、松が多く生えていた東山を背景に松や楓等を用い、東山と一体となった庭園となるよう工夫しています。
円山公園のシンボル・枝垂れ桜。池泉回遊式庭園は、東山の山をバックに作れられており、池の周りの石組みなど配いされており、よくよく散策していくと面白です。 |
京都人は、円山公園というと花見や遊びの場や通り道的なイメージがあります。そのため、恥ずかしながら小川治兵衛による作庭と知ったのは、つい最近です。無隣庵や藤田小太郎邸(洛粋)を訪れ、再度円山公園を見ると確かに言われてみればそうかなと思います。そして、公園という公共の場としての役目もしっかり考えられながら作庭されています。
●円山公園
所在地:京都市東山区円山町
TEL:075-561-0533
拝観時間:自由
交通・アクセス:京阪本線「四条駅」下車徒歩10分
地図:Yahoo!地図情報
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