第二関門:防火シャッター
出火階に排煙口が無くても、ホームと階段の間に「防火シャッター」や「防煙垂れ壁」が設置されている場合は、階段に煙が流れ込むのを一定時間防いでくれます。通常、これらの防火設備は火災報知器の一種である「連動用感知器」によって自動で動作します。
階段の防火シャッター |
防火シャッターの場合、下まで降りきってしまうと出入り口が無くなったと勘違いして、乗客がパニックをおこしてしまうので、途中で止まって「防煙垂れ壁」の役目をします。
乗客の避難を確認してから、駅員がシャッターを下まで閉めることになっています。
もしもシャッターが閉まっていた場合は、すぐ脇にある避難口の表示がある扉を探してください。そこから避難出来ます。この扉は、基本的には避難方向に向かって押せば開くようになっていますが、ドアノブを回さなければ開かないものもあります。その時にはあせらずにドアノブの形状をしっかり見極めましょう。
防火扉の上の避難口誘導灯 |
火災が発生した時の基本は、煙を吸わないことです。避難をする際には有害な煙を吸わないように、体勢を出来る限り低くして避難をすることが大事です。また、煙の量が増える前に空気を確保しておくのも一つの手です。ビニール袋でも代用出来ますが「スモークシャット」のような避難グッズを用意しておくと安心感があります。
煙に巻かれて身動きが出来なくなった人が、床に寝そべって煙を避け、近くにあった冷蔵庫の扉を開けて中の空気を吸って時間を稼いだことにより、無事消防隊に救助されたという例もあります。
避難経路には白地に緑の矢印の付いた誘導灯や誘導標識があります。
矢印に沿って進むと緑地に白抜きのピクトグラフで避難口を示す絵が描いてある避難口誘導灯が設置されていますので、そこを目指して避難しましょう。この防火扉は、パニックに陥っている状態ですと見落とす可能性があります。防火シャッター「避難口」と書かれた誘導灯を目標にして下さい。
光る誘導灯は、法令が通れば都内で義務ずけられる。 |
韓国の地下鉄火災では、日本のように防火シャッターの横や脇に、防火扉がありませんでした。くぐり戸のようなものが設置されていたようなのですが、多くの方がシャッターの前で亡くなっています。
防災意識をもっと強く!!
利用客の一人一人が、防災意識を持って利用するだけで、地下鉄の安全性は大きく向上します。簡単ですが、災害時に大事なことをまとめてみました。
パニックを起こさない | |
避難口を探す | |
お年寄りや体の不自由な人、子供や赤ん坊を抱いている人を介助する | |
煙をさけるには体勢を低くする | |
駅員などの訓練を積んでいる人の指示に従って避難する | |
地下空間でも例に漏れず、なによりも初期消火が重要。放火ならば、その行為をやめさせる。火が出ていたら消火器で消火。消火器では手に余るほどの火災に発展してしまったら、消火栓での消火を試みましょう(訓練された人のみ)。
もう一つ、とても大事なことがあります。
それは、パニックを起こさないこと。駅には、きちんと訓練を積んだ駅係員がいますので、その指示に従って避難をしましょう。もしも、指示をしてくれる人がいなかった場合には、パニックが起きる可能性が高くなりますが、絶対にパニックには同調しないでください。特に、階段付近は危険ですので、一呼吸置いてから周りを見渡しましょう。
便利な地下鉄も、災害が発生するととても危険な空間になります。もしもの災害時には、適切な行動が取れるように、日頃から消火器の位置、避難経路の確認などをしておきましょう。
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いざというときの消防設備:排煙口
・『有毒な煙を吹き飛ばせ!』
<参考サイト>
「地下鉄道の火災対策の基準について(昭和50年1月30日 鉄総第49号の2)」PDF形式
「地下鉄道の火災対策基準の取扱いについて(昭和50年2月14日鉄土第9号)」PDF形式