まずは、夏目漱石の『二百十日』

二百十日の日に阿蘇の御宮を目指した為、雨と風に悩まされ、火熔石の流れた跡の谷に落ちてしまいながらも、豆腐屋の圭(漱石)さんと碌(山川信次郎)さんによって繰り広げられる、何とも言えないテンポの会話が魅力的な作品です。作中では9月2日の設定になっていますが、実際に漱石が登山に行ったのは9月1日のようです。

そして、松尾芭蕉の『野分』

野分(のわき)して 盥(たらい)に雨を 聞く夜かな

「なんで?何も関係ないよ。」と思うかもしれませんが、実は、野分というのは、二百十日や二百二十日前後に吹く強風のことなのです。今で言う台風ですが、芭蕉も、この日は家の中で、雨漏りを盥(たらい)で受けて過ごしたのでしょう。

私の家も、子供の頃は台風が来るたびに雨漏りを洗面器や金属製のバケツで受け、「タン・・タン・・タン」と、うるさくて眠れぬ夜を過ごしました。

ここで一句

野分して 庭に寝る祖父 瓦抱き

台風や大雨の日、祖父は雨漏りを直す為、毎回のように屋根に上っていました。ところが、ビニールでも掛けて応急処置をすればいいのに、そのたびにわざわざ瓦を敷き直すのです。しかし、何度もやっているのに、すぐ落ちる。「タン・・タン・・タン・・ガラガラ…ドン…」何度落ちても、瓦は割れた事がないのです。名人芸と言えば名人芸。しかし、最終的にはトタン屋根に張り替えられました。

統計的には、この厄日に特に台風が来襲しやすいというわけではなく、「9月の台風期を控えての心構え」という意味をこめて命名したとも言われています。どちらにしても、「二百十日」という雑節と、「関東大地震」が、防災の日制定に、大きく関わっていることには違いありません。



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