「犬種シリーズ」の第2回目は、チワワをお送りします。現在、大変ファンが増えているチワワですが、可愛いだけじゃない、小さな体の中に、ちゃんと犬らしさをあわせもっているのです。

=Index=
・犬種の起源は、未だ幻
・チワワの性格や病気などについて

メキシコ原産の超小型犬

愛らしいチワワ
小さくたって、立派な犬!
その歴史がはっきりとつかめている犬種というのは、わりと少ないものです。多くの犬種が、部分的であったとしても、謎というベールに包まれた過去を持つわけですが、チワワもその小ささといい、不思議がいっぱいの犬種です。

犬種名の由来は、アメリカと隣接した、メキシコのチワワ州にあります。「Perro Chihuahuano(ペロ・チワワーノ)=チワワ地方の犬」が語源。1850年頃に、そのチワワ州からアメリカに渡った数頭の犬を基に、より小型化されて、現在私達が目にするチワワの姿へと発展しました。生まれはメキシコ、育ちはアメリカ、といったところでしょうか。

その後、徐々に人々に知られるようになり、高い人気を誇る犬種へと成長していくわけですが、では、本国のチワワは、本来どのような犬だったのでしょう?

メキシコの古代犬“テチチ”が祖先?

チワワのルーツを辿っていくと、いくつかの説に行き当たります。その中で、最も取り上げられるのが、中南米に古くから存在していた“テチチ”と呼ばれる小さな犬が祖先であろう、という説。実際に、これまでに発見されているテチチと思われる彫刻などには、チワワに通じるものがあるとされています。

かの地には、かつて先住民であるトルテカ族が住んでいました。後に、アステカ族の侵略を受け、アステカ文明が隆盛を極めることとなりますが、トルテカ族の宗教観の全てとは言わないまでも、アステカ族に引き継がれたとも考えることのできる宗教上の習わしがありました。それは、犬は死者の魂を導き、悪霊などからも守ってくれるという信仰から、死者と共に埋葬されたり、時に生贄として差し出された、というもの。一説には、レッド系の被毛を持つ犬が生贄に使われ、ブルー系の犬は神聖視されたという話が伝えられています。

そして、1519年になると、Hernando Cortes率いるスペイン軍が侵攻。アステカ文明も滅亡することになります。この間、テチチは食用に供されることもあったという話もあり、どちらにしても犬は、人間によって翻弄される運命にある動物なのか……と思えて、切なくなってきたりもします。

かのコロンブスも、“吠えない小さな犬”を報告

新大陸を発見したコロンブスは、現在のキューバから、スペイン国王に向け、「豚のように太り、地中で生活する、吠えない小さな犬」の存在を報告しています。地理的に近いことから、これをテチチと考える意見も多いですが、どうでしょうか。

いずれにしても、豚のように……というのは、チワワ好きからしたら反感をかうかもしれませんが、これがテチチだとして、食用に供されたこともあったことを考えると、太っているというのも頷けるような気がします。また、地中で、野生の状態で生活できたとすると、現在のチワワよりずっと大きかったのかもしれませんね。

ルーツは中国にありか?

いやいや、チワワのルーツは中国にある、という説もあります。こうなると、原産国は本当にメキシコなのか?という話になってしまいますが。

一つは、メキシコに移住した中国人が連れて行った、中国で小型化された犬が基礎となってテチチが生まれたのだ、とする説。この根拠となっているのは、日本でも盆栽は人気のある趣味の一つですが、こと中国人は動植物の小型化に長けているということ。そして、それに拍車のかかった時代があったということ。

加えて、人間と生活を共にすることが多い犬達のこと、その歴史は人間の歴史ともかぶっていることが多く、例えば、日本犬のルーツを知りたいと思うと、日本人そのもののルーツにヒントがあったりします。アステカ族の場合は、その祖先のルーツはアジアにあるのではないか?という考え方もあり、彼らに伴われた犬がテチチと関係あるのでは?というわけです。でも、そうなると、トルテカ族と暮らしていたテチチはどうなるのだ?ということにもなりますよねぇ。

他にも、シベリア経由でメキシコに入ったチャイニーズ・クレステッド・ドッグがテチチと関係しているのではないか、とか、スペイン人の手によって中国の小型犬がメキシコに持ち込まれ、それが関係しているのではないか、とか、もっともらしい説が存在しています。

エジプトにこそ起源があり?

中国から遥かに距離を隔て、エジプトにチワワの起源があり、そこから地中海のマルタ島に渡って、後にヨーロッパで知られるようになった、という説もあります。メキシコに渡るのは、やはりスペイン人の手を介して。

この説の根拠として、チワワによく見られるような、頭蓋頭頂部の泉門が開いた状態の犬の骨が、エジプトで発見されていることを挙げることができます。

結局は、チワワの歴史はよくわからないということになります。が、どの説にもこれといった確証がないだけに、ロマンの域を出ないあたりが、チワワをより神秘的な犬に感じさせているのでしょう。

次のページでは、性格や飼い方のポイントとなるようなお話を。