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知っておこう、ヒトと動物との共通感染症

犬と暮らすには、ただ可愛いだけではなく、知っておきたいこともあります。その一つが、病気について。動物からヒトへうつる病気についても、ある程度は知っておきましょう。共に、健康に暮らすために。

大塚 良重

執筆者:大塚 良重

犬ガイド

前回、『ノミとダニ予防で、病気も予防』の記事中に「ヒトにもうつる病気」について出てきましたが、今回はそれに引き続き、ヒトと動物における共通感染症についてのお話を。

犬と暮らすにも、ただ可愛いだけでは暮らせません。知っておきたいことの一つが、病気について。中には、ヒトにもうつるものもありますので、こうした知識も得て、注意すべきところは注意しましょう。

=Index=
・・ヒトと動物の共通感染症における感染経路と病原体
・ヒトと動物の共通感染症にはこんなものが

ヒトと動物の共通感染症(ズーノーシス/zoonosis)とは

可愛い犬からも病気がうつることが…
ズーノーシスについても知っておくことで、より健康な生活を送りたいもの。
ヒトと動物に共通して感染する病気というものがあることは、皆さんよくご存知でしょう。厚生労働省ではヒトの健康を基盤に考えるという観点から、動物由来感染症という言葉を使っています。世界保健機構(WHO)の定義によれば、「脊椎動物とヒトとの間で、自然に伝播(でんば)する、すべての疾病と感染」ということ。伝播とは、感染症がうつる、といった意味合い。ヒトと動物に共通して起こり得る感染症、その数は、300近くもあるという話です。

感染に関係する動物としては、牛や豚などの家畜動物、鳥類、野生動物、げっ歯類などの他、もちろん、犬やネコなど私達に身近な動物も含まれます。

感染経路

感染経路については、いくつかに分けることができます。

■直接的な感染
・咬まれたことによる傷、舐められるなど(例:狂犬病、パスツレラ症)
・引っかき傷(例:ネコひっかき病)
・感染部位などに接触(例:疥癬、皮膚糸状菌症)
・皮膚からの進入(例:野兎病)
・流産した胎児などに接触(例:ブルセラ症)
・咳やクシャミ、鼻汁などから感染(例:結核、オウム病)
・便や尿中の病原体から感染(例:回虫症、ブルセラ症、レプトスピラ症)                     など

■間接的な感染
・ノミやダニ、蚊などが介在して感染(例:日本脳炎、Q熱)
・土壌や水などの汚染(例:回虫症、トキソプラズマ症)      など

病原体の種類

ズーノーシスを引き起こす病原体としては、以下のようなものがあります。

■微生物
・細菌
・リケッチア
・クラミジア
・ウィルス
・真菌

■寄生虫
・原虫類
・蠕虫(ぜんちゅう)類             など

原虫は宿主の体内に侵入し、増殖することによって、わりとすぐに症状が現れるということ。肉眼では見ることがないほど小さく、微生物としてくくられることもあります。一方、蠕虫は中間宿主を必要とするものがおり、終宿主の体内に寄生。代表的なものでは、犬糸状虫(フィラリア)、犬回虫、瓜実条虫などがあります。

次のページでは、日本国内で発症が見られるとされるズーノーシスについて。
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