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韓国の天然記念物である珍島犬ペックの物語(2ページ目)

世に名犬の物語は数々存在しますが、韓国で実際にあった話を基に作られた物語が本となり、この度日本でも発刊。静かな話題を呼んでいます。

大塚 良重

執筆者:大塚 良重

犬ガイド

犬達が代弁する言葉にドキリ

:『帰ってきた珍島犬ペック』
韓国版忠犬ハチ公物語として紹介されている『帰ってきた珍島犬ペック』(現文メディア/\1300+税)。
この本は、ペックが自ら語る形で物語が進んでいきます。自分は珍島犬であるというプライドと、それにふさわしい強い意志を持つペックに対して、ミックスの野良犬ブラックは言います。「おまえは、さぞ偉いんだろうな。……珍島犬が特別だと?ふざけるな!」と。ブラックはかつて人に飼われていたものの、年老いて捨てられた犬でした。人間を心底嫌っています。売られてもなお、元の飼い主を慕うペックの気持ちが理解できないながらも、心のどこかではほんの少し羨ましく感じていたのかもしれません。

純血種と呼ばれる犬種は世界中にたくさんおり、FCIが公認するところの公認犬種というものは現在339犬種(08.6月現在で)となっていますが、それぞれの犬種のよさを後世に残すといった意味で保護保存をすることはたいへん意味のあることだと思いますし、また、多くの犬種を作り出したのが人間であるならば、それに努めるだけの義務があると言っていいかと思います。

しかし、その一方で、未だに純血種であることがイコール“いい犬”である、血統書付きの犬が“いい犬”である、ある種のラインを引く犬が“いい犬”である、といった誤解もまかり通っていることが事実としてあることは悲しいと感じます。

“いい犬”と出逢えた時、人は幸せになれる

ガイドが思う“いい犬”というのは、犬種や血統や見てくれは関係ありません。人と深く絆を結ぶことができ、性格もそれなりによくて、その人にとって出逢えたことが“宝”と言える犬、そう思っています。犬種や血統はそれに付随するもの、また別の次元のことと考えています。

ペックが飼い主のおばあさんや孫娘と深く絆を結ぶことができたのは、珍島犬であったからと言うより、“犬”としてすでに素晴らしい資質を持っていたのでしょう。ブラックにしても“いい人”と出逢えたなら、その資質はもっと引き出され、そして幸せも感じたはずです。

この物語では、お国柄、犬が食に供されることがあるという表現が何ヶ所か出てきます。犬好きからするとたいへん辛いところですが……。これは文化の違いといった一口で語るには難しいカテゴリーにあるものですので、それについてはここでは割愛させて頂きます。しかし、そういった食環境にある中で特別に大事にされている珍島犬というのも、これまた格別の魅力があるからなのかもしれません。

とても大切にされる犬がいる一方で、生きることもままならぬ犬達がいる。犬に深い愛情を寄せる人がいる一方で、彼らに心を寄せることもできない人達がいる。美しかったペックも、野良犬として生活するようになると、その薄汚れた姿に石を投げられることも……。この本を読みながら、犬がどんな動物であるかという以前に、人間とはどんな生き物であるのかということを考えてしまいました。

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