問題行動の裏には、飼い主の無知があり?

犬としてのつきあい方を身につけることができるパピークラス
犬の行動心理や社会化をふまえ、かつ健康管理にも留意した内容かどうか確認することが大事。(写真提供:獣医師 牧口先生)
ペットの行動治療を専門に行う、獣医師 牧口香絵先生は、パピークラスで指導をしている一人。犬の飼い方の心構えなど、お話をうかがいました。

ガイド:
「日頃ペットの行動に関する問題を扱っていますが、どんな相談内容が多いですか?」

牧口先生:
「よく相談されるのは、子犬であれば、1に甘咬み、2にトイレトレーニングの問題、3にいうことをきかない、ということです。成犬の場合は、攻撃性と無駄吠えの2つが最も多いですね。最近では特に、子犬の甘咬みに関する相談が増えてきています。甘咬みに関しては、破壊行動も含みます。」

ガイド:
「問題に直面すると、飼い主さんは直そうとあれこれ努力するけれど、どうもうまくいかないというパターンが多いようですね。」

牧口先生:
「例えば吠えの問題であれば、コインを入れた缶を吠えるたびに鳴らすなど、いろいろと努力をしている方もいます。しかし、タイミングがよくわかっていないように思えます。吠えると何らかの刺激を与える首輪など、器具に頼っているケースもよくありますが、やはり根本的な矯正に取り組むべきでしょう。対症法的なやり方で片づけるのではなく、あくまでもどうしてそんな行動に出るのか、犬の心理や行動を考えて対処をする必要があります。」

ガイド:
「いずれにしても、問題にどうにか対処しようとする飼い主さんは、それだけ真面目に犬との生活を考えているはずなのに、その反面で吠えや攻撃性などの困った問題が出てしまうのはなぜなのでしょう?」

牧口先生:
「1つには、飼い主さんが犬種特性や犬の行動パターンをよくわかっていないということがありますね。つきあい方を知らないまま飼ってしまうので、問題行動を作り上げてしまっているようなケースもあります。最近の傾向なのか、飼い主さん自身が神経質過ぎるケースも目立ちます。犬は飼い主の鑑です。飼い主さんが神経質なら犬も神経質になってしまいます。

また、社会化の時期をうまく過ごせていない犬も多くいます。きちんと社会化のされた子犬は問題行動を起こしにくいんですよ。つまり、問題行動はある程度、社会化によって予防できるということなんです」

問題行動のカギは「社会化」

社会化がうまくなされていない犬は、ストレスに対しても弱いそう。こういう話を聞くと、問題行動の予防にもなる社会化の時期がいかに意味を持つものなのか分かりますね。だからといって、やたらとかしこまって考える必要もありません。牧口先生のお話しにあったように、気負いが愛犬に影響を与えることもあります。ゆったりとした気持ちで、しっかりとこの時期を過ごさせてあげましょう。

パピークラスやパピーパーティーはそのお手伝いをしてくれます。牧口先生は現在、パスカル動物病院グリーンヒルアニマルクリニックにおいて、パピークラスの指導をされています。グループレッスンでは、犬種特異性や問題行動の話から始まり、褒める・叱る時のタイミング、各行動に対する対処法など実践的なものへとステップアップしていきます。子犬を迎えた時には、是非パピークラスなどで飼い主さんも一緒に勉強してみましょう。

犬と暮らすための3つのキーワードは、「犬種選び」「犬のことを知る」「社会化」。これらの答えがすべて○ならば、ハッピードッグライフに一歩近づいたと言えます。「いろいろ知ることで、自分の犬がより可愛く思えるようになった」とクラスの参加者がおっしゃったそうです。その気持ちこそが犬との生活の基本なのではないでしょうか。


取材協力:「ペット行動治療コンサルテーション PAW and TAIL」牧口香絵 獣医師
(略歴:麻布獣医大学卒業後、動物病院勤務を経てニューヨーク州コーネル獣医大学Animal Behavior Clinicにて犬猫の行動学及び行動治療学を学び、帰国後「ペット行動治療コンサルテーション PAW and TAIL」を主宰。行動治療はもちろん、子犬とその飼い主を対象としたしつけ教室の講師、講演や執筆活動など現在多方面で活躍中。ご自身も大の愛犬家として知られている)


■関連リンク
パスカル動物病院
グリーンヒルアニマルクリニック

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※ペットは、種類や体格(体重、サイズ、成長)などにより個体差があります。記事内容は全ての個体へ一様に当てはまるわけではありません。