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日本経済をペットが救う!

臨床獣医学フォーラムの年次大会が都内のホテルで開かれました。目立った動きとしては、飼い主向けのセミナー・シンポジウムが充実してきたこと。その中から今週次週と連続で2つのレポートをお送りいたします。

執筆者:坂本 光里

高度化する伴侶動物医療と動物医療保険

日本臨床獣医学フォーラムの年次大会2004が、9月19日~9月20日の2日間にわたってホテルニューオータニ東京で開かれました。今年は獣医師1463人、VT552人、学生515人、一般市民477人、計3007人という大規模な集会に。
わたしも「プレス」の記章をもらって、広い場内を行ったり来たりしながらいくつかのセミナーやシンポジウム、獣医さんの講演会などを覗いてきました。今回はその中から、動物保険アニコムの小森伸昭理事長の市民向けフォーラム「高度化する伴侶動物医療と動物医療保険」の模様をお届けしたいと思います。

アニコムの小森さんはペットが
日本経済の牽引力となると…。

「助け合い」の発想

小森さんが立ち上げたアニコムは、後発ながらも最大手のひとつにまで成長したペット保険の専門会社です。小森さんはアニコムを始められる前、損保の東京海上火災におられたそうで、それも驚きだったのですが、もっとビックリしたのは出発点は経済企画庁につとめるお役人さんだったのだとか。ということもあって、この日のお話は、ペット産業が日本経済の牽引力となるという大きな視点がテーマになっていました。

まずは「アニコム」という会社名に込められたメッセージの解説から。なんでもこれはラテン語でアニは「命」、コムは「重合」を意味するのだそうです。命の重なりといったところでしょうか。
この社名からもわかるように、動物の保険制度をつくった理由のひとつには、ペット愛好家の中にこれまでなかった「助け合い」の発想を持ち込みたいというものでした。「一人では不可能なこともみんなが集まれば可能になる。それがより豊かな人とペットとの関係性を築き、また人と人との間にも新しいつながりをつくっていくことになります」と小森さん。
そして、そうした新しい動きは日本経済にも大きく影響していくだろうというわけです。

ちょっと難しいのですが、今はすごい勢いで若年人口が減少しているのだとか。これは少子化、核家族化から来る現象だから当然でしょうね。小森さんは、こうした若年人口の減少が有効需要の減少を招き、経済の停滞を引き起こしていると言います。
平たく言えば、お金を使う人たちが減ったということで、物質的に満たされ過ぎた今の大人たちは買いたいものがなく、何にお金を使ったらよいかがわからない。日本人は世界から見れば預貯金も多いはずなのに、お金の行き場がないというわけです。
この「お金の行き場」を潜在需要と言いますが、今はこの潜在需要と有効需要との間に大きなギャップがある。小森さんは、ペットとの生活こそがそれを埋めるきっかけになると言うのです。な~るほど!

景気の底上げをするペットの力

img1ペットが生み出す需要は70兆円 「人間が本質的に求めることは命をいつくしむこと、『愛』とも言えますよね。それは十分、有効需要の創出になると思います」と小森さん。
たとえば、日本をペット先進国のフランスおよびアメリカと比較してみると、ペットを飼っている人の割合は、フランスが52%、アメリカは59%、日本は46%ですぐそこまで追いついてきているのに、ペット可の賃貸物件数はフランスが100%、アメリカは80%、日本は5%と圧倒的に低い。
このことひとつを取っても、日本にはまだまだペット飼育可のマンションや賃貸住宅ができて当然というわけです。そして、そこには必ずビジネスを活性化する有効需要があるでしょう。「かつて犬の役割は番犬で、それが今はセコムが取って代わるようになった。今は人間がコンパニオンアニマルのために『何かをしてあげたい』と考えている時代です。
犬は供給する側から需要を生む側へと立場が変わってきたんですね」(小森さん)。それは景気の底上げをする力となるはずだというわけです。

ペットのためのインフラづくり

img1保険があるから高度医療が
受けられるようになる 小森さんによれば、1億2300万人で生み出すGDPが500兆円なら、1900万頭のペットの飼い主たちが持つ総潜在力は推定70兆円はあるとのことでした。これはすごい!
それが本当なら道路を掘り返しては埋めるという公共事業などよりも、ずっと大きな経済の支えとなることでしょう。「ペットに対する愛を感じて『この子のために何かしたい』と思う飼い主さん1900万人のパワーですよ。それは日本経済を大きく変えていきます」(小森さん)。
たとえば、アニコムがやっている動物保険を例に取りますと、

お金がかかるので病院に行かない → 保険に入っているので使わないと損 → よく行くようになる → 早期発見につながる → 保障があるので治療法の選択肢が広がる → 高度医療が受けられるようになる

ということになって、経済が活性化するというわけです。
スウェーデンでは飼い主の70%以上が加入(50億円超の市場規模)、アメリカでは全土では約200億円の市場規模と言いますから、保険ひとつを取っても、日本はまだまだこれからということですね。
小森さんは、将来的にペットのための輸血センターをつくったり、専用の救急車を持つなどの大きな構想についても話されていました。楽しみですね。さあ、そうとわかったら、わたしたちも犬と一緒に経済活動に参加しようじゃありませんか?

アニコム
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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※ペットは、種類や体格(体重、サイズ、成長)などにより個体差があります。記事内容は全ての個体へ一様に当てはまるわけではありません。

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