A やはり院長先生の考え方に共感したからです。ペット動物に対する考えとか診療姿勢とか、飼い主さんへの接し方とかですね。
Q 獣医さんの卵たちは就職してから現場で臨床教育が始まるわけですから大変ですね。
A そうなんです。だから日々勉強ですね。それと最初に就職した病院の院長先生の影響は大きいと思います。右も左もわからない状態で社会に出て、勤めた動物病院の院長先生があまりよくなかったら、やはりそういう獣医師になっていってしまいますよね。
Q 獣医さんになるために一番苦労した点は?
A やっぱり獣医師の資格を取るための国家試験に通るための勉強かな。また受験かと思うとしんどかったですね。
だけど獣医師の資格だけ持っていても本当の獣医師とはいえません。日々の勉強の積み重ねで少しずつ獣医師になっていくということですから、今もその試練はつきまとっているということです。
それから大学のカリキュラムに小動物の医療とは全然関係なさそうな講義がいっぱいあって、それもきっちりやらなければならないことかな。でもそれも今となっては必要なことだったんじゃないかと思います。
あと大学は6年間もあるのに、実習はあっても実際に大学病院で臨床に立ち会う機会はあまりにも少ないというのが現状ですから(病院に行く選択もあるがあくまでもアシスタント)、卒業当初は右も左もわからない状態なんですね。大学で臨床のテクニックを身につける機会を、これからはもっともっとつくってほしいと思います。
Q これからの獣医さんはどうあるべきだと思いますか?
A 今は空前のペットブームで動物に対する飼い主さんの気持ちがどんどん大きくなってきています。そうした飼い主さんの思いを真摯に受けとめて医療に励むような獣医師にならなければと心がけています。院長先生も同じ考えの人なので、初心を忘れずにここで頑張っていきたいです。
あと今はまだ、まとまった休みがとれない勤務形態を取っているところが多いですが、これからはこの分野にも女性がかなり進出してきますから、女性獣医師が結婚や出産後も働けるような時間制のパートとか、「女性が働きやすい」環境をつくってほしい、そういう希望はありますね。
広田先生は、今の獣医界が直面している問題に対しても直感的に対処していかなければならないと考えている方でした。それは飼い主と同じ目線で動物を見て、飼い主と同じ気持ちになって診療に取り組むという姿勢です。センセイはエライ、飼い主はただ黙ってペットの命を預けるだけという獣医療の時代は終わりつつあるということでしょう。
■取材協力 :アーク動物病院
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