こわい歯周病を防ぐには、
一にも二にもまず毎日の歯磨きを!!!



口がくさい、歯茎の色がいつになく赤い。そんな兆候があなたの愛犬に見えたら要注意。それはきっと歯周病のサインです。え、うちの獣医さんは健康診断のときそんなこと言ってなかったよって?たしかに犬の歯周病はあまり広く知られているわけではありません。

私事ですが、じつはうちのハービー(Mシュナウザー)もかなり前から歯周病でした。ハービーは2歳ぐらいから口臭があったのですが、そのままずっとドッグショーに出ていて、あるときハンドラーさんから歯肉が真っ赤で熱を持っているという連絡受け、治療のため引退したわけです。
もちろんショーに出ている間、ハービーは何度か健康診断を受けていました。そしてうちに帰ってきてからもいろんな動物病院を回り、都合3人の獣医さんにハービーを診てもらいました。
最初の先生は「ああ、たいしたことない、心配ないよ」と言い、別の先生は「口内炎だね。口の中を清潔に保つぐらいしか対処はないね」とにべもない答え。そして3人目の先生は「一度歯石をとってみよう」と軽い麻酔をかけて機械による歯石除去をしてくださいました。

しかし症状は悪化するばかり。とうとう食事さえ嫌がるほど歯肉が腫れあがってしまいました。そこで歯科を専門に診てくださる先生の存在を幸運にも知ることができ、はじめてハービーは歯周病であると確定診断されたのです。つまり歯科に強い獣医さんというのは、すごく少ないということですね。



動物の口腔内疾患の研究で博士号をとった埼玉県上尾市のフジタ動物病院院長の藤田桂一先生はこう言われています。
「犬の場合はほとんどが歯周病です。歯周病には歯肉炎と歯周炎があります。口の中には、歯があってそのまわりには歯肉がありますよね。その歯肉だけが炎症を起こしたのが歯肉炎、歯肉以外の歯根をおおっているセメント質とか、そのまわりの歯根膜とか、歯を支えている歯槽骨とかまで炎症がおよんでしまったものを歯周炎といいます。最初は歯肉炎でとまってるんですが、放っておくと歯周炎になる。3歳になると8割以上の犬猫が、そのどちらかに冒されているといわれてます」(『ペットの命を守る』ハート出版より)

ほかにも、歯肉口内炎とか咬み合わせの問題とか、先天的な疾患だとか、人間とほとんど変わらない病気が犬にも起こるそうです。しかし不思議なことに虫歯だけはあまりないとか。

では、犬にもっとも多いといわれる歯周病 はどうして起きるのでしょう?

「唾液の中のねばねばした物質が歯の表面に付くと、歯垢の原因になります。すると細菌がそこで繁殖する。それが歯肉に炎症を引き起こすわけです。動物の口がくさくなるのはそのせいです。さらに歯垢は唾液中の石灰分を取り込んで歯石となる。とくに犬は人間よりずっと唾液のアルカリ度が高く、歯石になりやすい。歯石があると、歯ぐきが腫れたり出血したりする歯肉炎や、歯周炎などの『歯周病』になりやすいんですね」(藤田先生)

歯周病になると食事もしにくくなり、オモチャをくわえて遊ぼうとしなくなります。そして、さらに症状がすすんで歯を支えている肉や骨がやられ始めると、歯が抜け落ちて、小型犬ではあごの骨が折れることもあるとか。そんなことになったら大変ですよね。そればかりか、歯周病菌やその毒素は炎症をおこした歯肉や歯周ポケットから血管に入って心臓や腎臓、はては肝臓や肺にまでたどり着き、内臓をむしばむこともあります。つまりズバリ命にかかわるということです。

歯周病になったらどんな治療法があるのでしょう?

抗生物質やクスリを使った治療もあるにはありますがあまり効果はなく、やはり外科的な治療に頼ることが多いとか。外科的な治療というのは、おもにスケーリングという歯垢歯石を取る方法です。
「スケーリングをやると歯のセメント質がガチャガチャになりますから、ルートプレーニングという手法でそれを滑らかにしてあげなくてはいけません。スケーラーの角度を変えて表面をスムーズにしていくわけです。あと、歯肉も中をきれいに洗浄して、炎症を抑える抗生物質の軟膏を入れていきます。そうすると炎症がそれほどひどくならなければ歯根膜の再生も手伝って、ポケットになっていた部分がだんだんくっついてくる。歯肉が戻ってくるんですね」(藤田先生)
ということは表面の歯垢歯石だけを取っても駄目、肝心なのはこのポケットの中をしっかり治療しなければいけない。表面だけをきれいにして「これで大丈夫」と帰す獣医さんがいますが、それではすぐに元に戻ってしまうんですね。

そしてさらに症状がすすんでしまうとどうなるのでしょう?