視覚障害者の方々に生きる自信を取り戻させた盲導犬たち |
さて、盲導犬が視覚に障害のある新しい飼い主のもとに行くのは、 適性診断を受け、すべての訓練を終了してからですから2歳すぎということになります。それから大きな支障がなければ約8年はその飼い主と、文字通り寝食をともにする生活を続けて行くわけです。 そしてその役割が終わり、退役となる年齢は10歳。
これは10歳になると順応性が低くなってしまうし、退役したあとの盲導犬のその後のクオリティ・オブ・ライフを考えたとき、退役ボランティア宅での生活も楽しめるように設けた年齢制限だそうです。
よく盲導犬は短命なんじゃないかといわれますが、これは誤解。健康管理は定期的に行われてますし、なによりも飼い主とつねに一緒にいることでストレスが通常の飼い方よりもかからないそうです。
「みなさんが目にする盲導犬の仕事は、すごく大変そうなものばかりですが、あれはあくまで私たち視覚障害者が外出するときのみで、ふだんはみなさんが考えているほどいつも飼い主の安全を守るために緊張してわけではありません。だから普通のペットとして飼われている犬よりもむしろ長生きだったりするんですよ」(今井さん)
視覚障害者の方にとって、外出は恐怖に近いものがあるそうです。
「白杖歩行では、一歩家の外に出たら危険がいっぱい。だから家族やヘルパーさんなど、誰かの手を借りなければ安全に外出することはむずかしかった。ところが盲導犬と一緒に歩くようになってからは、風を切って歩けるようになりました。そうやって目が見えていたころと同じように自由に外出できるようになって、ようやく自分に失われていた自信が戻ってきました」(今井さん)
外に出ることによって新しい情報を得ることができ、社会とコミュニケーションを持つことができるようになったのも盲導犬の力が大きいといえそうですね。
見学会の最後に、集まった人が実際に盲導犬との歩行を体験するコーナーがありました。ポールなどを使って障害物をつくりクランクになっている道を、最初はアイマスクを付けて白杖歩行をし、次に盲導犬と一緒に歩いてみるわけです。体験した2人の女の子の話によれば、白状歩行だと腰が引けてなかなか前に足を踏み出すことができなかったのが、盲導犬といっしょだと彼の歩様にあわせて自然に足が前へ出たそうです。
実際にそばで見ていた私にもその様子がハッキリわかりました。もちろんあくまでも飼い主が目的地までの行程をしっかり把握した上で、
盲導犬を誘導するのです。(盲導犬に「駅に連れていけ!」と声をかければ行ってくれるわけではない)コーナーごとに的確な指示を出してはじめて盲導犬の仕事が始まるのです。
盲導犬は目的地までの行程で、止まっている自転車などの障害物を教えたり、段差のある場所では停止をしたりと、飼い主が安全に目的地に辿りつくための誘導をしていきます。
この間、盲導犬は自分の視線よりも高い位置の障害物まで教えることができるのです。しじゅう視界に入る全体に気を配っているということですね。
日本では現在、約7800頭の盲導犬が必要とされているそうです。
しかし実際に活躍しているのはわずかに850頭。盲導犬は一般の方の寄付を中心に育成されています。寄付の方法としては、賛助会員というボランティアがあったり、「盲導犬の募金箱」をお店などに設置したり、グリーンスタンプやロータスクーポンを集めて送ったり、自宅に眠っている書き損じの官製ハガキを協会に送ったりすることでもよいそうです。
身近でできることから始めてみるのはいかがでしょう?
最後に、もし盲導犬をつれた障害者の方が街で困っている様子を見かけたら、決して盲導犬に向かって声をかけたり触ったりせずに、飼い主さん自身に声をかけてあげてください。
たとえば駅の券売機とか信号待ちで困っておられるようだったら…。
また、その方のそばを離れるときは必ず離れると声をかけてあげてくださいね。
もうひとつ、盲導犬は道路交通法第14条に定められているように、法律で「特権」が規定されている犬であることをご存じですか?ですから、盲導犬をつれた視覚障害者の方が飲食店での入店を断わられていたとしたら、それは誤りです。もしみなさんがそんな場面を目にしたら、ぜひ一言お店の方に教えてあげてくださいねー。
◆「人を救う犬たち」のおすすめサイト
◆盲導犬に関するのサイト
財団法人日本盲導犬協会
Jakeのホームページ
『ベルナのしっぽ』を支える会
盲導犬を普及させる会
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