「ヒトと動物の関係学会」は、獣医さんたちが中心となって94年に立ち上げた、人間と動物とのあらゆる関係について研究・議論しあう場としての学会です。その顔ぶれは多彩で、獣医大学の先生や開業獣医さんをはじめ、動物愛護関係の人、しつけ関係の人、動物園の園長さん、畜産関係者、アニマルセラピーをやってるお医者さん、社会学者、人文学者、動物ライター、ワンコ関係の雑誌の編集者、もちろん多くの一般のペット愛好家の人たちも出席しています。
一般口演のプログラムの一部をのぞいて見ましょう。
◆『ペットショップは動物愛護意識を持っているか』
福岡今日一/同志社大大学院総合政策科学研究科
◆『盲導犬の平均寿命』
水越美奈/日本盲導犬協会、P.E.T.S行動コンサルテーションズ
◆『飼い主に対する問題行動に迫る』
内田佳子/酪農学園大獣医学部&尾形庭子/動物行動クリニック・ファウ他
◆『犬の散歩と地域社会』
野中健一/三重大人文学部
◆『小児科病棟におけるAIBOによるロボット介在活動の試行』
横山章光/大和市立病院精神科
なかでもおもしろかったのは、日本でも指折りの犬の問題行動専門家3人、内田佳子先生&尾形庭子先生&水越美奈先生による共同研究『飼い主に対する問題行動に迫る』。3人の獣医さんたちがそれぞれのクリニックで診療した攻撃行動の100例を分析したもので、どんなときに攻撃が起きるかをドミナンス(さわる、かまう 72)、ポセッシブ(おもちゃを取り上げる 67)、フード(おやつを取り上げる 49)、フィア(叱る 40)、プレイ(遊びのとき 16)などに分類したり、攻撃の程度を「唸る」「咬む」「ガブガブ咬む」「飼い主を病院送りにする」の4段階に分けて分析したりと、なかなか興味深いものがありました。ちなみに問題行動で治療に来た犬種で一番多かったのは何か?答えは柴犬。2位はゴールデン、3位はダックス、4位はコーギー、5位はピレネーでした。