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ヒトと動物の関係学会レポート

「ヒトと動物の関係学会」の大会が3月24、25日の両日、東大農学部で開かれました。ワンコ関係の専門家や情報通たちもたくさん集まるこの学会は、親しみやすいテーマが多く、楽しく有意義な集まりでした。

執筆者:坂本 光里

大地震!そのときあなたはワンコをどうする!?


「ヒトと動物の関係学会」は、獣医さんたちが中心となって94年に立ち上げた、人間と動物とのあらゆる関係について研究・議論しあう場としての学会です。その顔ぶれは多彩で、獣医大学の先生や開業獣医さんをはじめ、動物愛護関係の人、しつけ関係の人、動物園の園長さん、畜産関係者、アニマルセラピーをやってるお医者さん、社会学者、人文学者、動物ライター、ワンコ関係の雑誌の編集者、もちろん多くの一般のペット愛好家の人たちも出席しています。

一般口演のプログラムの一部をのぞいて見ましょう。

『ペットショップは動物愛護意識を持っているか』
福岡今日一/同志社大大学院総合政策科学研究科
『盲導犬の平均寿命』
水越美奈/日本盲導犬協会、P.E.T.S行動コンサルテーションズ
『飼い主に対する問題行動に迫る』
内田佳子/酪農学園大獣医学部&尾形庭子/動物行動クリニック・ファウ他
『犬の散歩と地域社会』
野中健一/三重大人文学部
『小児科病棟におけるAIBOによるロボット介在活動の試行』
横山章光/大和市立病院精神科

なかでもおもしろかったのは、日本でも指折りの犬の問題行動専門家3人、内田佳子先生&尾形庭子先生&水越美奈先生による共同研究『飼い主に対する問題行動に迫る』。3人の獣医さんたちがそれぞれのクリニックで診療した攻撃行動の100例を分析したもので、どんなときに攻撃が起きるかをドミナンス(さわる、かまう 72)、ポセッシブ(おもちゃを取り上げる 67)、フード(おやつを取り上げる 49)、フィア(叱る 40)、プレイ(遊びのとき 16)などに分類したり、攻撃の程度を「唸る」「咬む」「ガブガブ咬む」「飼い主を病院送りにする」の4段階に分けて分析したりと、なかなか興味深いものがありました。ちなみに問題行動で治療に来た犬種で一番多かったのは何か?答えは柴犬。2位はゴールデン、3位はダックス、4位はコーギー、5位はピレネーでした。




さらに両日とも午後は学会の目玉のシンポジウムです。24日は『動物救護の起点』と題した阪神淡路大震災、有珠山噴火、三宅島噴火のときのペット救護の実際と今後の対応への課題についての討論。25日はHuman-Animal Bondの国際組織I.E.A.P所長デニス・ターナー博士を迎えての『アニマルセラピー再考』でした。25日は残念ながら行けなかったのですが、24日の『動物救護の起点』にはしっかり参加してきました。




ここで感動的だったのは、災害時にペットたちを救おうと手弁当で集まった獣医さんやボランティアの人たちの行動力。アタマが下がります。飼い主たちと離ればなれにされて(あるいは死に別れて)、ストレスで下痢になったり毛が抜けたりするペットたちの世話をしながら里親を探していく。日本の獣医さんたちもなかなか捨てたものじゃない。その一方で無策なのはやはり行政。いまだに動物救護に関する緊急時のマニュアルも予算もないのが現状だそうです。ホント!みなさん、自分のワンコを置き去りにして自分だけ仮設住宅になんか住めると思います? 三宅島の一人暮らしのおばあちゃんは、猫と離ればなれにさせられて心身症になり頭髪が全部抜け落ちてしまったそうです。このおばあちゃんは特例が認められて猫といっしょに暮らすことが許され、いまは元気で髪の毛もふさふさ生えてきたとのことでした。いまはまだ多くの飼い主たちがペットと離ればなれに暮らしているわけですが、こうした例もあることから都営住宅では「ペットを飼うことは許可できませんが、三宅島の方がペットを連れて帰ってこられたとしても『出ていけ』とは言いません」という変な言い回しでペットとの同居を認め始めたそうです。

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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※ペットは、種類や体格(体重、サイズ、成長)などにより個体差があります。記事内容は全ての個体へ一様に当てはまるわけではありません。

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