小島弁護士提供の資料によると、世の中には「DVの神話」と呼ばれるものがあるとのことだ。例を挙げると、
「被害を受ける女性はマゾだ、マゾ的傾向がある」
「宗教心や信仰心を持っていれば被害にあうことはない」
「被害を受ける女性は、殴られても仕方がない、それなりの理由がある」
等々・・・。これらの「神話」が、偏見に満ちた無理解の産物であることは間違いないが、一般の人々のDVに対する認識は、未だその程度に過ぎないし、その後も改善されているとは言い難いのが現実だ。
そういった中で、自分の過失で、それについては謝罪するが、暴力をふるわれたり恫喝される覚えはない、と、はっきり理解するのは難しいことかもしれない。
しかし、何事も最初が肝心なのだ。「妻の家事のやり方が、ノロノロしていて気に入らない」「顔を見ていると腹が立つ」などの理由で、恫喝まがいの態度を取ったり、暴力に訴えたりする行為というのは、「後ろの車がクラクションを鳴らしてうるさかったから」という理由で、赤の他人を刺し殺す人間の行動と、大差ないもののように思える。
また、そういった行動は、許容されてしまうことで更なる暴力につながり、結果、家庭を無法遅滞と化してしまうことにもなるのだ。
ごく初期に行われる、そういった「八つ当たり」的兆候を考え、まとめてみた。
●DVを招く、危険な兆候
・少しでも意見が食い違うと、押し黙って、相手の言葉を徹底的に無視し始める。
・言い合いになると、まるで脅すように大声を出し、汚い言葉を使う。
・気に入らないことがあると、手元にある物を投げたり、乱暴に扱ってみせる。
・音が響くほど、ドアを激しく開け閉めする。
・喧嘩の本音とは関係ない、身体的欠陥をあげつらう。
・相手の友人や親兄弟の悪口を言い始める。
こういったことが起きたら、早いうちに第三者に相談したり、夫婦で話し合って改善策を考えるなど、出来るだけ早めに対処するのが望ましいだろう。