-調停前置主義?いきなり裁判ではない離婚の常識-
■離婚のフルコースって何?
離婚方法の種類は幾つあるかご存じですか? 答えは4つ。協議離婚、調停離婚、審判離婚、裁判離婚です。では、離婚のフルコースって何でしょう? 別名「泥沼離婚!」。いきますよ、協議→調停→審判→地裁→高裁→最高裁! これに当たる某有名人元ご夫妻の場合、離婚に要した時間はなんと5年! お互いどんなに大変だったことでしょうか? 想像すると、ため息…、くらいの話ではありません。
■調停離婚のその前に…90%が協議離婚!
気を取り直して、まず協議離婚は皆さんよくご存じかと思います。夫婦が話し合いによって合意を得て離婚する、という極めてシンプルな方法です。離婚の理由がいかなるものであっても、双方が合意していれば何ら問題ありません。離婚の90%が協議離婚です。協議離婚で気をつけなければならないのが、合意書や公正証書などを作成しておくことです。口約束は絶対ダメ! 離婚して子どもと別れた親の80%が養育費を払わないという問題も、この口約束で済ませてしまったことが主な原因です。あとで「話が違う!」ということにならないためには、以下の点などの合意の内容について書面化しておきましょう。
1. 協議離婚すること
2. 子どもの親権者はどちらになるか
3. 財産分与・慰謝料は幾らか
4. その支払い時期と支払い方法
5. 子どもの養育費は幾らか
6. 離婚届はいつ、どちらが役所に提出するか
7. 子どもと一緒に生活しなくなる方は、どのような形で子どもに会うか
そして、金銭受領の項目がある場合には、「強制執行認諾約款付公正証書」を作成しておくと、万一相手が支払わないという場合に裁判を起こさなくても強制執行できます。この公正証書は公証人役場で作成してくれます。とりあえず、弁護士さんに30分5千円支払って(全国一律)、離婚に関する条件等についての妥当なラインは何か、相談してみることをオススメします。離婚は殆どの方が初めての経験となるわけですから、二人きりで話し合って決めてしまい、後から色々な知識を得ると「あの時こうしておけば良かった~失敗した~」ということにもなりかねません。以上の各項目その他の合意が整い、役所に備えてある離婚届に夫婦が署名・押印し、他の成人の証人2人の方にも署名・押印して貰い役所に提出して受理されれば離婚成立となります。
では調停離婚は?
■いきなり裁判に持ち込めないの?
夫婦の話し合いで決着がつかない場合、またはどちらかが全く話し合いに応じない場合、離婚をしたい夫婦のどちらかが離婚調停の申し立てを管轄の家庭裁判所に起こします。調停委員や家事裁判官、調査官、書記官という第三者が入ることで、客観的且つ冷静な話し合いを進めていくことができます。
よく不倫をされた夫や妻が逆上して「オマエなんか訴えてやる!」などと言うことがありますが、いきなり裁判離婚の訴えを起こすことは出来ないことになっています。これを「調停前置主義」といって、まずは家庭裁判所の調停を経なければ裁判は出来ません。何故かといえば、個人のプライバシーを重んじるためです。離婚は非常にプライベートなことに関わるので、傍聴席などがある裁判よりも、非公開の調停室で調停委員が間に入って、夫婦が納得して合意に至り離婚をするべきとされているからなのです。