【Aさんの場合】
長男であるAさんは夫婦と子供2人の4人暮らし。郷里である四国には父と母をはじめとする先祖代々のお墓があるため年に2回は帰省。ただし実家はすでに存在せず、帰郷する際は毎回ホテルに宿泊している。疎遠になっていく故郷であるため子供達はともかく、次の世代、そしてまた次の世代はこの地になったときもそのお墓を守ってくれるか保保証はない。「それならば、いっそ気軽にお参りできる場所へお墓を移動してしまいたい」と考えている。
少子化、核家族化、都市部への人口集中など、さまざまな社会的背景が要因となり、今後お墓をどうするか悩みを抱える人は多いのではないでしょうか。Aさんのように、「郷里が遠いため、今後お墓を守ってくれる人が途絶えてしまう可能性がある」というケースだけでなく、「一人っ子同士の結婚のため、奥さんの実家は承継者不在になってしまう」等の理由で「今のうちにお墓を引っ越しておきたい」と考える人が増えています。
改葬の手順と手続き
自治体や地域によって手続きが異なることもあります。とくに遠方の場合は手続き方法をしっかり確認しておかないと、二度手間になってしまうこともあります。 |
- 改葬先の墓地・霊園を決めて「受入証明書」を発行してもらいます。
- 現在の墓地にある市区町村役場で「改葬許可申請書」をもらいます。
※申請書をダウンロードできる自治体もあります。 - 「改葬許可申請書」に必要事項を記入し、現在の墓地管理者に埋蔵(埋葬・収蔵)の証明を受けます(署名と印鑑をもらいます)。 ※埋蔵(埋葬)証明は別の用紙で提出してもかまいません。
- 署名捺印済の3の「改葬許可申請書」を提出し、受理されると「改葬許可証」を発行されます。
※申請書・許可証は遺骨1体につき1枚必要です。
※改葬先の「永代使用許可書」または「受入証明書」の提出が必要なこともあります。 - 現在の墓地管理者に4「改葬許可書」を見せて、遺骨を取り出します。その際に「閉眼供養」「抜魂供養」「遷座法要」「遷仏法要」等を行います。
※宗派・寺院によって法要の主旨・言い方は異なります。 - 現在のお墓をさら地にして戻します。
- 「改葬許可証」を改葬先の墓地管理者に提出して遺骨を埋葬します。「納骨法要」「開眼供養」「建碑法要」等を行います。
※宗派・寺院によって法要の主旨・言い方は異なります。
書類上では以上をクリアすれば改葬することはできますが、そう簡単にいかないケースも。それはどういうことか次ページでご説明します。