信州・安曇野へ、大人のアートトリップ

松本からJR大糸線で北上すること約30分、穂高駅で下車。まだ残雪が残る北アルプスの山々に囲まれた信州・安曇野へやってきました。今回の旅の目的は、「大人のためのアートに触れること」。ここ安曇野は、個人美術館やアーティストの工房・ショップが数多く集まるところ。北アルプス山麓にあって四季の表情が劇的に変化するこの場所は、アーティストたちにとって創作意欲をかき立てられる環境なのでしょう。この美しい自然に魅せられて、関東や関西圏から移住してきた人たちも多く見受けられます。

豊かな自然に包まれたアート空間で、好きな作品や作家に出合う旅。とっておきの逸品を見つけたり、心の琴線に触れる感動を味わったり……。そんな大人のためのアートトリップへ、出発です。

のんびりとお茶も楽しめる、大人のために創られた絵本館

木々に囲まれたログハウス。あたり一面静けさに包まれていました

穂高駅前でレンタサイクルを借りたら、山あいのエリアへと向かいましょう。駅周辺からは緩やかな勾配が続くので、体力に自信がなければ、電動サイクルを借りることをオススメします。目的地まで自転車だと30分以上かかるのですが、北アルプスの山々に見守られながら、清流に架かる橋を渡ったり、田んぼのあぜ道を走ったり、野の花を愛でたりと、新緑の季節は気持ちのよいサイクリングが楽しめます。GWや夏休みシーズンは100円バスが運行するので、こちらを利用すると便利です。

まず最初に訪れたのは、山麓線を少し奥に入った、赤松林のなかにひっそりと佇む「安曇野絵本館」です。安曇野にまだこのような施設がなかった今から17年前、「ヨーロッパの絵本作家を、日本の人たちに紹介したい」というオーナーの想いからオープンしました。

周囲の緑と溶け合う玄関プレート

こちらは、大人がかつて子どもだったことを再認識したり、静かに絵本の原画を楽しむ場所として公開されている、大人のために創られた絵本館です。基本的に団体客や未就学児は入館不可なので、ひとり静かに過ごすにはピッタリの場所といえるでしょう。

初期から最近までの原画のほか、手づくりの人形も展示されています

1階ではヨーロッパを中心とした絵本作家の原画展をメインに、四季に応じて年4回の企画展が行われています。現在は日本の絵本作家、こみねゆら氏の絵本原画展が行われています（6/25まで）。洋書を含む多くの絵本の挿絵を手がける彼女の作風は、どこか懐かしい少女時代を思い起こさせてくれるもの。フランスでの生活が長かったせいか、ヨーロッパ的なエッセンスも感じられ、展示空間にしっくりと馴染んでいます。

大人のためにセレクトされた国内外の絵本が並ぶ2階のショップ

2階では、国内外の絵本やポストカード、グッズなどが販売されています。企画展で取り上げられた作家の絵本も扱っているので、自宅でページをめくりながら、改めて作品を楽しむのもいいでしょう。

アンティーク家具が置かれたカフェスペース。夏はテラス席が気持ちいい

1階部分には広々とした吹き抜けのカフェスペースが設けられていて、作品鑑賞の合間に好きなドリンクでくつろげます。フランスのアンティークチェアに座り、カウンターの奥でオーナーがサイフォンで淹れてくれるコーヒーや野イチゴ紅茶をいただく贅沢なひとときは、心の底からリラックスさせてくれます。オーナー夫妻と時間を忘れて語らうのもいいでしょう。絵本館でありながら、まるで森の中のカフェのような心地よさに、ついつい長居してしまうのでした。

「安曇野絵本館」
・住所：長野県安曇野市穂高有明2186-117
・地図：Yahoo!地図情報
・TEL：0263-83-6173
・営業時間：9:30～17:30（11～3月は10:00～17:00、1・2月は土・日・祝日のみ開館）
・定休日：火曜（祝日の場合は翌日）
・入館料：700円（ドリンク付き）
・交通：JR大糸線穂高駅から車で約10分

「安曇野絵本館」のすぐ近くで見つけた可愛らしい案内板を便りに、自転車を走らせました。詳しくは次ページへ。