滋賀の涼を感じる美しい水風景を求めて

琵琶湖を取り囲むように町が形作られている滋賀県。琵琶湖、そして琵琶湖に流れ込む水が、県内のさまざまな場所で美しい水辺風景を形成しています。特に暑い季節は、涼を運んでくれます。そんな季節におすすめの涼スポット&涼グルメを厳選してご紹介します。

<INDEX>
  1. 醒井宿
  2. 竹生島
  3. 近江八幡 八幡堀
  4. 近江八幡 水郷めぐり
  5. 伊庭の水辺景観
  6. 彦根城 玄宮楽々園
  7. 涼グルメ:伊吹そば 久次郎

可憐な白い水中花に魅せられる
「醒井宿(さめがいじゅく)」(米原市)

日本武尊が伊吹山の大蛇と戦って、負った傷を癒した伝説の清水「居醒(いざめ)の清水」を源とする地蔵川が流れる、中山道醒井宿(さめがいじゅく)。
地蔵川

木々の緑がきれいな地蔵川

この地蔵川には、例年5月中旬~9月末頃になると、白い梅の花に似た水中花「梅花藻(ばいかも)」が咲き乱れ、人々の目を楽しませてくれます。
梅花藻

梅花藻が満開でした

梅花藻は水温が年間を通じて14℃前後の清流にしか生息しない植物で、絶滅危惧種のハリヨという魚の産卵場所にもなっているそう。ここは環境省が認定した「平成の名水百選」にも選ばれています。
問屋場

完全な形で現存する問屋場

梅花藻の群落ポイントがいくつかあるなか、醒井宿の資料館にもなっている問屋場(江戸時代に醒井宿を通行する大名や役人に人足や馬を提供した施設)の前は、美しい群落が広がり、必見! 

問屋場からさらに上流に進むと、少しうっそうとした場所に、川面に看板が立っているので、ここが居醒の清水だと分かります。緑陰にあるので、少し涼やかに感じられます。
居醒の清水

居醒の清水

梅花藻の開花時期には地蔵川沿いに土産店も開店。のぞいてみると、夏らしい和菓子が! 梅花藻パウダー入りの梅花藻くずもち「名水めぐり」が冷やされていました。抹茶餡入りのくずもちはツルンとした食感で、みずみずしく、一瞬で汗が引きました。
梅花藻くずもち 名水めぐり

梅花藻くずもち 名水めぐり

川沿いには老舗の醤油蔵も。「醤油屋喜代治商店(ヤマキ醤油)」は、昭和39年創業。
ヤマキ醤油屋

ヤマキ醤油屋

醤油や味噌の醸造に加えて、甘酒や醤油ソフト、醤油プリンといったテイクアウトスイーツも販売しているので、散策のお供におすすめです。
甘酒 米花

甘酒 米花。ストレートで飲むタイプと、凍らせたタイプあありました

醒井宿
・住所:滋賀県米原市醒井
・問い合わせ:0749-58-2227(米原市観光協会)
・交通:JR東海道本線醒ヶ井駅から徒歩5分

「神のいつく島」と呼ばれるパワースポット
「竹生島(ちくぶしま)」(長浜市)

湖岸から約6kmの沖合に浮かぶ、周囲約2kmの竹生島(ちくぶしま)。奈良時代から人々の信仰を集めてきた島ですが、最近はパワースポットとしても注目されています。長浜港から約30分間のクルーズを楽しむうちに、島が見えてきました。
竹生島

竹生島が前方に見えてきました

前方の島をよく見ると、山の中腹に社寺の屋根が見え隠れしているのが分かります。島に上陸すると、すぐに急な階段が。ここから156段の石段を上り切ると、「宝厳寺」本堂に到着します。
竹生島神社鳥居

港に着くと階段を上り、竹生島神社の鳥居をくぐります

宝厳寺の本尊である大弁才天は、安芸の宮島、相模の江ノ島と並ぶ「日本三弁財天」のひとつで、本堂に安置されています。
宝厳寺の本堂

宝厳寺の本堂

本堂でかわいらしいダルマのお守りを発見! これは「弁天様の幸せ願いダルマ」と呼ばれ、お守りの中に願い事を書き入れて奉納すると、願いが叶うといわれています。持ち帰れないのが少々残念ですが、ひとつ一つ手描きなので、表情がさまざまでとてもかわいかったです。
弁天様の幸せ願いダルマ

弁天様の幸せ願いダルマ

豊臣秀吉が建てたという大坂城唯一の遺構である、国宝の唐門(平成30年まで保存修理中)をくぐり、観音堂を抜けると、秀吉の御座船「日本丸」の船櫓を利用して建てたと伝わる舟廊下が続きます。
宝厳寺の舟天井

宝厳寺の舟天井

約30mの舟廊下を抜けた先が「竹生島神社(都久夫須麻神社)」の本殿となります。お寺と神社が連なってあるのは、とても珍しいように感じられました。
都久夫須麻神社の本殿(国宝)

竹生島神社(都久夫須麻神社)の本殿(国宝)

本殿でお参りしたら、前方の拝殿へ。拝殿の琵琶湖に向かって突き出した場所に、龍神拝所があります。島内随一の絶景ポイントで、ここから願い事を書いた土器(かわらけ)を投げ、鳥居をくぐれば叶うといわれています。
かわらけ投げ

島内随一の絶景ポイント

深い緑に包まれる島影が青い湖面に写り込む様は、琵琶湖八景のひとつ、「深緑 竹生島の沈影」に選定されています。
竹生島

深い緑に包まれる竹生島

竹生島
住所:滋賀県長浜市早崎町竹生島
TEL:0749-65-6521(長浜観光協会)
入島料:400円
交通:長浜港から竹生島行き観光船で約30分(今津、彦根港からも連絡船あり)
 

近江商人発展の原動力になった
「八幡堀」(近江八幡市)

安土桃山時代、豊臣秀吉が築いた八幡山城を防御すると同時に、運河としての役割を持つことになった八幡堀。その結果、近江は商人の町として栄え、近江商人が全国で活躍する原動力となりました。
初夏の八幡堀

初夏の八幡堀

昭和30年頃になると陸上交通が主となり、徐々に利用されなくなったことで、一時は埋め立ての危機にも瀕しましたが、市民の努力によって美しい姿が蘇ったのだそう。堀に沿って、白壁の土蔵や旧家が立ち並び、往時の様子を伝えています。
白壁の土蔵

川岸には白壁の土蔵が立ち並ぶ

この美しい景観は水上から楽しむことも。和船に乗り込み、船頭さんの案内で、日牟礼八幡宮前、新町通、赤レンガ工場跡を約35分で巡ります。春は桜、夏はアジサイや柳、秋は紅葉、冬は雪景色と、四季折々に違った風情を楽しむことができます。
初夏の八幡堀

初夏の八幡堀

お堀沿いを散策した後は、新町通りを歩いてみて。この辺りは近江商人を代表する豪商の屋敷が立ち並び、白壁の土蔵もそこかしこに。豪商・西川家住宅などを見学することもできます。
新町通り

商家の町並みが続く、新町通り

近江八幡は城下町の顔をもつ一方で、洋風建築に出会うこともできます。それらの設計を手がけたのが、ウィリアム・メレル・ヴォーリズ。近江八幡を愛し、さまざまな社会貢献活動を展開しました。中心街では、「旧八幡郵便局」、「旧伊庭家住宅」などを見学することができます。
旧八幡郵便局

旧八幡郵便局

八幡堀
・住所:滋賀県近江八幡市宮内町
・TEL:0748-33-6061(近江八幡駅北口観光案内所)
・交通:JR琵琶湖線近江八幡駅から八幡市内線バスで約10分、大杉町八幡山ロープウェイ口下車

琵琶湖八景のひとつを和船でめぐる
「近江八幡の水郷」

近江八幡にはもうひとつの有名な水風景があります。西の湖を中心とした水郷地帯で、「春色 安土八幡の水郷」として琵琶湖八景のひとつに数えられています。日本三大水郷のひとつにも数えられ、中でも昔と変わらぬ自然が保たれている点で大変貴重。国の重要文化的景観第一号に選ばれています。
船頭さん

船頭さんが待っていてくれました

訪れた初夏は、水辺のヨシが青々と茂り、美しい景観が広がっていました。背の高いものだと4m近くにもなり、入り組んだヨシ原の間を通り抜けるといった感じ。ここでビールが飲めたら最高~!といった雰囲気です。周囲は雑音ひとつなく、船頭さんの優しい語りのみ。畝の速度はどこまでもゆっくりで、居眠りしてしまいそう……。
水郷めぐり

向こうのほうから、船が近づいてきました

春は桜と菜の花、秋はヨシが枯れて黄金色になり、冬は刈り取り風景に出会えることも。四季折々に表情を変える水郷をのんびり和船で進むのは、とてもリラックスできます。水郷めぐりの発祥は織田信長や豊臣秀吉が戦いの疲れを癒すため、宮中の雅やかな遊びを真似た、という説もあるそうです。
橋

橋が川面に映ってきれいです

水郷めぐりには手こぎ船とエンジン船があり、手こぎ船は二社あるなか、今回は「水郷のさと まるやま」の船に乗り込みました。定期船は4~11月の運行で、1日3便。乗船時間は約60分・2160円。お弁当や、近江牛すき焼きを船内で楽しむこともできます(要予約)。
橋

風情のあるアーチ型の木の橋を潜ります

「水郷めぐり(水郷のさと まるやま)」
・住所:滋賀県近江八幡市円山町1467-3
・TEL:0748-32-2333
・定期船出発時刻:10:00、13:10(土日祝は13:00)、15:00
・料金:2160円
・交通:JR琵琶湖線近江八幡駅から長命寺行き、または休暇村近江八幡行きバスで約15分、円山下車、徒歩すぐ

人々の暮らしに密着した
伊庭の水辺景観

水郷風景といっても、人々の暮らしの中で息づいてきた風景もあります。東近江市伊庭町は、湖東平野に残る水郷集落のひとつです。
水路

水路の奥にかわいらしい橋が

町中に伊庭川から引いた石垣の水路が縦横に流れ、川面をのぞくと錦鯉が泳ぐ場所もあり、水質が良いことも分かります。
伊庭町の水路

伊庭町の水路

今やかつてのように行き交う船の姿を見ることはありませんが、水路に浮かぶ船を見ることができます。
船

昔は各家がこうして船を持っていた

また、水路沿いには「カワト」や「イケス」と呼ばれる場所が設けられているのが特徴。家々から水路に下りていく石段・カワトは、水場や洗い場として利用され、イケスは魚を飼う場所だったそう。こうして生活に水を取り入れるという、昔ながらの暮らしぶりを垣間見ることができます。
カワト

家々には「カワト」も

カワト

水路へ下る石段、カワト

伊庭の水辺景観
・住所:滋賀県東近江市伊庭町
・TEL:0748-48-2100(東近江市観光協会)
・交通:JR琵琶湖線能登川駅から車で約10分

彦根城北東にある大名庭園
「玄宮園」(彦根市)

琵琶湖を見下ろす彦根山に立つ「彦根城」は、井伊家14代の居城で、今も二重の濠に囲まれた城郭は、400年前の姿をとどめています。
彦根城と佐和口多聞櫓

お堀越しに見た彦根城。手前には佐和口多聞櫓が

濠の外からも天守閣が望めるのですが、濠に映り込む佐和口多聞櫓(さわぐちたもんやぐら)や、こんもりとした緑も涼しげな表情を見せていました。内壕は屋形船で遊覧することも可能。船は藩主が使っていた屋形船を再現したもので、約3kmを約45分かけて遊覧します(大人1300円)。こちらも気持ち良さそうでした。
お堀

お堀の緑がとてもきれい

国宝五城のひとつに数えられる、彦根城。天守は3重3階構造で、屋根は、切妻破風、入母屋破風、唐破風などの破風が配され、2・3階には花頭窓(かとうまど) もあしらわれていて、美しい姿が印象的です。
彦根城天守閣

彦根城天守閣

天守閣の最上階からは彦根市街の風景と琵琶湖が望め、気持ちがいいです。
天守閣からの眺望

天守閣の最上階からの眺望

彦根城の周りに配された「玄宮楽々園」は、4代当主・井伊直興が造営したもので、江戸時代には「欅御殿」と呼ばれていました。現在、建物部分を「楽々園」、庭園部分を「玄宮園(げんきゅうえん)」と称しています。
玄宮園

玄宮園。目線の上には天守閣が

玄宮園は琵琶湖の景観を模して造られたといわれ、広大な池を中心に、中の島や入江に架かる9つの橋などにより、変化に富んだ回遊式庭園を形作っています。

毎年11月半ば~12月初旬には、「錦秋の玄宮園ライトアップ」と称し、美しい紅葉がライトアップされ、夜間も開放されます。

彦根城 玄宮園」
・住所:滋賀県彦根市金亀町1-1
・TEL:0749-22-2742(彦根城管理事務所)
・入場料:大人1000円(~平成29年12月10日。玄宮楽々園・開国記念館を含む)、通常は大人600円(玄宮楽々園を含む)
・観覧時間:8:30~17:00
・定休日:無休
・交通:JR琵琶湖線彦根駅から徒歩15分

最後にご紹介するのが、滋賀で出会った涼グルメです。日本のそば発祥の地で味わう、伊吹そばには、この地ならではの薬味が付いてきました。

伊吹山西麓地域で「伊吹そば」を味わう
「久次郎」(米原市)

滋賀県北東部、伊吹山の麓は「日本のそば栽培発祥の地」といわれる場所。伊吹山西麓、姉川の上流にある大久保に、4年前にオープンした「久次郎」では、自家農園「いぶきファーム」で栽培した玄そばと野菜を使った「伊吹大根おろしそば」1200円が味わえます。
久次郎の外観

久次郎の外観

手打ちそばの味を引き立てるのが、辛みの強い「伊吹大根」。伊吹の在来種で、時代とともに廃れかけていたものを、いぶきファームが復元した滋賀の伝統野菜です。伊吹大根と自然薯、ネギをお好みでかけていただきます。さっぱりとした後味で、暑い時期には特におすすめです。
伊吹大根おろしそば

伊吹大根おろしそば1200円

自家製野菜の天ぷらも、野菜が新鮮でカラリと揚がり、美味。アユの塩焼きや自家製の漬物も付いて、伊吹の里のおいしいものが一度に味わえるので満足できます。
アユの塩焼き

アユの塩焼き

店主は農業をメインにされているので、お店の営業は土日、祝日の昼どきのみ。運良く営業日に近くに訪れることがあれば、ぜひ立ち寄ってみて。

久次郎
・住所:滋賀県米原市大久保1032
・TEL:0749-58-0906
・営業時間:土日、祝日の11:30~14:00
・定休日:月~金曜
・交通:JR湖西線近江長岡駅から近江鉄道バス・湖国バスで約20分 、大久保下車、徒歩すぐ


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