世界初!? 喫茶店モーニングが
テーマのイベントがこの夏、開催
今や名古屋の喫茶店の代名詞とも言うべきモーニングサービス。コーヒー1杯の値段で、トーストやゆで卵、サラダその他もろもろのオマケがついてくる盛りだくさんなこのサービスは、この地方の喫茶店の競争がいかに激しいか、市民の生活の中でいかに喫茶店が欠かせない存在か、そして何としてでもお客を満足させようという喫茶店主の心意気、これらをすべて現しているものだと言えるでしょう。こんなバトルロイヤルなモーニングも(※写真は「モー博」とは直接関係ありません)。 |
モーニングをこよなく愛する「一宮モーニング探検隊」の精鋭たち |
喫茶店評論家・永谷正樹氏に聞く
「これが一宮モーニングだ!」
一宮モーニング探検隊の広報を担当するのが、フリーライターにして喫茶店評論家でもある永谷正樹さん(HPはその名も「名古屋喫茶店物語)。その彼に、探検隊の活動や一宮モーニングの魅力についてお聞きしました。『大名古屋観光』などの著作もある東海地方の喫茶店文化研究の第一人者・永谷正樹さん |
永谷 「味噌カツや味噌煮こみうどん、手羽先などの名古屋グルメは、東京にも店ができ、すっかり市民権を得ましたが、喫茶店のモーニングはいまだ地元限定。しかし、日曜の朝には家族揃ってモーニングを食べに出かけたり、平日はサラリーマン同士でモーニングを食べながら打ち合わせするのが、名古屋周辺、特にここ一宮ではごく当たり前の光景となっています。つまり、モーニングはすでに街のリッパな食文化だと思うんです。これを一宮名物として広く発信していこう、というのが目的です」
― この地方の喫茶店のモーニングが充実しているのはなぜ?
永谷 「私は愛知県の地場産業である繊維業と大きくかかわりがある、と考えています。繊維工場の中は機織機(はたおりき)の音がうるさい上にホコリっぽい。職場では商談や打ち合わせができないので、喫茶店を応接室代わりに利用したんです。高度経済成長期の昭和30年代になると、昼夜を問わずますます喫茶店を利用するようになり、喫茶店側も食堂並にフードメニューを増やしていった。こうしてこの地方特有の“喫茶店=食事する場所”という概念が誕生していった。この流れの中で、食事代わりにもなるモーニングサービスが登場したのはもはや必然だったのです。そして、県内で最も繊維産業が盛んな一宮で、モーニングがより充実していったのも当然の流れだったと考えられます」
- 一宮モーニングのメニュー内容の特徴は?
永谷 「トーストだけでなく、サンドイッチやホットドッグをつけるお店も多い。あんこを乗せた小倉トーストが出てくるケースも少なくなかったですね。茶碗蒸はかなりポピュラーで、他にシチュー、昆布茶などがついてくる店もあります。また、営業時間中、朝から晩までずっとモーニングをやっている店も、取材中3軒もありました」
- サービス内容の最近の傾向は?
永谷 「かつてはモーニング戦争とも言われる過激なサービス合戦もくり広げられていたんですが、最近はそれがひと段落して、ボリュームやインパクトよりも、よりお客さんが満足できる内容を重視するお店が増えています」
- お客さんの傾向は?
永谷 「常連さんの占める割合がすごく多い。場合によっては毎日座る席まで決まっている(笑)。住宅街の店の平日は、特にその傾向が強いですね。だからこそ、量よりも内容を大切にするお店が増えているんでしょう。モーニングは一宮市民の生活の一部。そう断言できるほど文化として浸透しているんだ、探検隊メンバーとして数々の喫茶店を回ってみて、あらためてそう実感しました」
次のページでは「モー博」のイベント内容を紹介。