頭上をサルたちが動き回る
モンキースクランブルがオープン!

今年の夏休み、北海道・旭山動物園へ行ってきました。動物たちの生き生きとした動きが間近で見られるアイデアが満載。実に楽しい動物園でした。それにつけても驚いたのはお客さんの多さ。目玉のあざらし館やほっきょくぐま館の前には行列ができ、レストランも30分待ち。ウワサには聞いていましたが、予想をはるかに上回る人気でした。

驚きいっぱいの旭山動物園でしたが、同時にこうも感じました。

「日本モンキーセンターだって負けちゃいない!」
モンキースクランブル・クモザル
モンキースクランブルのモンキースカイウェイではクモザルが終始頭上を歩き回る


動物を野生に近い環境で飼育し、ありのままの行動を見学者に見せる。「行動展示」と呼ばれるこのスタイルは、旭山動物園がブレイクした最大の要因であり、今では施設の代名詞にもなりました。しかし、実はこの飼育・展示法は、愛知県犬山市の日本モンキーセンターの十八番でもあるんです。

「もともと行動展示という言葉はなく、正しくは生態展示と言います」と同園の加藤章園長。そして、「世界に例を見ない生態展示施設が完成しました!」と園長が胸を張るのが、9月16日、園内にオープンしたモンキースクランブルです。

これは空中に吊り橋やうんていが張り巡らされ、その上をサルが自由に動き回るというもの。旭山動物園でもオランウータンが観客の頭上のはしごを渡ってエサを取りに行く人気展示がありますが、ここではサルたちが空中回廊を終始好き勝手に行き来しているんです。
モンキースクランブル・ビッグループ
モンキースクランブルの目玉・ビッグループ。高さ最大15m・総延長200m超の大うんていをフクロテナガザルが縦横無尽に綱渡り。写真が小さいのでちょっと分かりにくいですが、上の方に見える黒い影がぶら下がってるフクロテナガザル


最も高い場所にあるビッグループは高さ最大15m・総延長200m超の大うんてい。フクロテナガザルがぶら下がって移動します。そのスピードは最速100m8秒台! 何と人間の100m走世界記録より速いんです。下から見上げるループはまるでジェットコースターのようですが、事実、製作したのはジェットコースターなどを作っているメーカーだそうです。

これと交差する吊り橋・モンキースカイウェイはクモザルの通り道。こちらも延長は約100mもあり。子どもを背中におぶって這い回ったり、時に2本足でちょこちょこと駆けていく姿もユーモラスです。

さらに、中央にはボリビアリスザルを放し飼いしている島もあり、ここでは夢中でエサの虫を探したり、人間に興味を示して近づいてくる子猫程度の大きさのサルたちをすぐ目の前で観察できます。


サルたちの自由な行動に目がクギづけ。
でも、何で逃げちゃわないの?

フクロテナガザル
フクロテナガザル。身長は80cmだが腕を伸ばすと約2mにもなる。哺乳類で最も鳴き声が大きく、何と4km先まで届く。毎日数回、オスとメスでデュエットするのも聴き逃せない
モンキースクランブルでは、サルたちをエサでおびきよせたりするワケではないので、彼らの行動は勝手きまま。それだけに頭上をゆうゆうと移動したり、足元に近づいてくる姿を見つけるのが楽しいんです。

しかし、開放感抜群のサルたちの姿を見ていると、ふとあることに気づくハズです。

そう。うんていや吊り橋の周りには柵やネットが一切なし。リスザルの島も人間の出入り口以外は金網や柵がありません。ようするに、完全に開けっぴろげ状態なんです。それなのになぜサルたちは逃げ出しちゃわないの? 誰もがそう首をかしげることでしょう。

「フクロテナガザルは5m以上の高さだと飛び降りられず、クモザルはジャンプしたり飛び降りたりは一切しないのです。また、リスザルは泳げないため、島から出ようとはしないんです」と、あっさりその秘密を明かしてくれた加藤園長。
「飛び降りられないのは体の構造的に無理なのではなく、あくまで心理的なもの。リスザルは体毛が水を弾かないため、水に沈んでしまいます」。

他ではあり得ない環境作りの秘密は、サルの習性や体の特徴にあったのです。サルのことを知り尽くしているからこその生態展示。これぞモンキーセンターの真骨頂と言えるでしょう。



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