自転車の元祖!「ローバー」
「スピード」の追求でオーディナリー型が登場しましたが、あまりにも事故が多いので「安全性」に配慮するようになって登場するのが、ジョン・ケンプ・スターレー(ジェームズ・スターレーの甥)が1885年に発明した「ローバー」。これは1879年にイギリスのローソンが考案したチェーンをつけて後輪を回す「ビシクレット」(これがバイシクル=自転車の語源になっています)を改良したものです。
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「自転車の元祖」とまでいわれるほどの完成度の高さを誇った「ローバー」。現在の自転車の基本的なスタイルが確立されました。 |
ギアチェンジによって車輪の回転数を自由にコントロールできるので、タイヤの大きさにかかわらずスピードが出せるようになり、ドライジーネと同じように前輪と後輪が同じ大きさで統一されました。現在の「自転車の元祖」といえるほどに完成度が高く、大いに流行してヨーロッパ社会に普及しました。完全に大衆の新しい乗り物として認知されたようで、「ローバー」(放浪者、流れ者)というネーミングにもそうした世相が反映されているといえそうです。ちなみにイギリスの自動車メーカー「ローバー」は、元は自転車を作っていて、このローバーが原点になっています。
ほかにも「世界一周を達成した自転車」や
「5人乗り自転車」「皇室ご用達の自転車」なども!
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1959年に皇太子殿下(現在の天皇陛下)の御成婚を記念して贈られた皇室ご用達の献上車。菊の御紋のマークなどがデザインされています。当時の自転車業界の最高の技術を結晶して作られたものだそうです。 |
ドライジーネなどは、世界でも数台しか現存しておらず、非常に貴重なものなのですが、自転車博物館では、こうした200年前のクラシック自転車から菊の御紋が入った天皇陛下に献上した自転車や、5人乗りの自転車、最新のマウンテンバイク、世界一周自転車旅行に使用された自転車など、約270台以上の自転車がそろっていて、自転車の博物館としては世界で5本の指に入るほどの規模を誇っています。自転車博物館3階には、豊かなサイクルライフをご紹介するコーナーなども設けられていて、まさに自転車に関することなら何でもわかるといっても過言ではない、充実した産業観光ミュージアムといえるでしょう。