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昭和を感じる鉄道駅舎ベスト5(2ページ目)

全国各地に今も残る昭和の栄光を感じさせる名駅舎。独断と偏見で選んだベスト5を披露しよう。

野田 隆

執筆者:野田 隆

鉄道ガイド

5 鞍馬駅

鞍馬駅はお寺のような駅舎だ。
京都市・叡山電鉄鞍馬線、昭和4年<1929>開業)

京都の奥座敷である鞍馬へ延びる叡山電車。始発駅の出町柳駅は、かつては中途半端な位置にあったので、利用客も低迷していたが、京阪電車が出町柳まで延長されてからは、アクセスも格段によくなり、とりわけ秋の紅葉時には多数の観光客を鞍馬まで運んでいる。観光電車「きらら」も人気で、小さな終着駅鞍馬は、人でごった返している。

鞍馬駅に停車中の観光電車「きらら」。
その鞍馬駅は、近くにある鞍馬寺を意識してか、お寺のような風格ある造りとなっている。周囲の雰囲気から浮き上がったような「個性的」駅舎が流行する昨今、地域密着型の駅舎は、鉄道が日常的に生活に不可欠だった時代の表れとも言える。そんなに無理をして目立たなくても充分人が集まったのである。結果、今なお立て直す必要がないほど、地域の顔としてどっかと構えている。秀逸な建物なのであろう。

4 出雲大社前駅
出雲大社前駅の内部は開業当時のままである。
(島根県出雲市・一畑電車、昭和5年<1930>開業)

お寺と並んで、神社も人が集まるところとして昭和の時代には鉄道を使って行き来したものだった。出雲大社も、かつては全国から人が押し寄せ、大賑わいだった。国鉄(現・JR)も大社線を建設し、その終点大社駅は、堂々たる建造物として大正時代に開業している。そのあとを追うように地元の私鉄・一畑電車は、小ぢんまりとした駅舎を造ったのだが、国鉄駅の二番煎じではつまらないと思ったのか、出雲大社とは正反対の雰囲気をもつ外国風のモダンな駅舎にした。国鉄は、蒸気機関車が長い編成の列車を発着させるため、大社からかなり離れたところにしか土地を確保できず、それが仇となって、クルマ社会の到来とともに廃れて、ついには廃止に追い込まれてしまった。

出雲大社前駅は洋風建築だ。
旧国鉄の名駅舎は保存されているものの、現役で頑張っているのは一畑電車のみである。駅舎内も往時のままであり、昭和という時代を偲ばせるに充分である。この駅舎は登録有形文化財となっている。

次のページでは3位と2位の紹介である。

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