鉄道/引退

銀河・なは・あかつき、惜別のラストラン!(3ページ目)

2008年3月15日のJRダイヤ改正で、東京と大阪を結ぶ寝台急行「銀河」、関西と九州を結ぶ寝台特急「なは」「あかつき」の3列車が姿を消します。もはや風前の灯となったブルートレイン。その現状に想いを馳せます。

執筆者:高橋 良算

なぜ寝台列車は廃止されるのか?

どの列車にも食堂車が残っていたら、寝台列車の運命もまた違っていただろうか(北斗星)
寝台列車の廃止が話題になる度にその理由として挙げられるのが、「飛行機や夜行バスとの競争に負けた」「時代の流れ」といったことです。しかし、それらは本当の理由なのでしょうか?

そもそも寝台列車は、初めからそんな勝負に参加する必要はないのです。日々の慌ただしさから開放される旅、長距離移動をゆったりと、いわば贅沢な時間を過ごすための乗り物という、なぜ列車にしかない「魅力」で勝負しないのか。

その点で、行き先が北海道の列車、すなわち、寝台特急「北斗星」(上野~札幌間)「カシオペア」(同)、「トワイライトエクスプレス」(大阪~札幌間)については、人々がイメージする「寝台列車の旅」に比較的きちんと応えてくれる列車だといえますね。

寝台列車が消える日

しかし、その他の列車を見ると、ほとんど悲惨と言ってよいくらいの放置ぶりなのです。

銀河の洗面所
「銀河」の洗面所。既に骨董品の域に達している
内装や設備については最低限のリニューアルが施されているものの、車両自体は数十年前に製造された老朽化したものばかり。個室が増えたとはいえその割合は低く、ほとんどはカーテン一枚で仕切られた開放寝台。

食堂車なんてはるか昔になくなり、車内販売すらない列車も多い。表面がテカテカのソファが置かれた寂しい共用スペース。身動きがとれないほど狭いトイレ。寝る前に汗を流したくてもシャワー設備もない列車……

寝台列車は、一晩を過ごす長距離列車なのにもかかわらず、一部の列車を除いては、とてもではないが旅を快適に楽しむための要素に欠けているのです。そんな魅力のない列車では、乗客が減少して当然でしょう。

寝台列車とはどうあるべきか、鉄道事業者内部でそんな議論が戦わされたようにはとても思えません。議論されたとすれば、まず廃止ありきのものでしょう。というより、初めから生き残らせることなど念頭になかったのかもしれない。

夜明け
夜を徹して走り続ける寝台列車に、夜明けは来るのだろうか……
もちろん鉄道事業者は営利企業ですから、儲からないものはさっさと無くしてしまいたい、というのもわかります。しかし、ニーズを掘り起こすための議論を本当にしつくしたのか。

「利用が少ないから廃止する」という、まるで利用者側のせいだとでもいうような鉄道会社の言い分が今ひとつしっくりこないのは、そんなことが気になるからなのです。


日本の線路上から寝台列車が消える日。それは、もうすぐそこまで来ているのかもしれません。あまり想像したくないことですが……



[関連ガイド記事]

寝台急行『銀河』の夜

[関連サイト]

2008年3月ダイヤ改正について(PDFファイル)
JR東日本のプレスリリース。廃止列車について一番最後に短く記載。

平成20年春ダイヤ改正について(PDFファイル)
JR西日本のプレスリリース。廃止列車については6ページ目にほんの2行だけ記載。
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